(ブルームバーグ):史上最大の新規株式公開(IPO)として注目を集めたスペースX株が、3日続落し、IPO価格を割り込む瀬戸際となっている。IPO価格は、新規上場銘柄の評価を占う重要な節目とされる。
スペースX株は14日の取引で2.2%下落し、1株136.08ドルで取引を終えた。これは、先月実施されたIPOで投資家が支払った公開価格135ドルをわずか1ドル上回る水準だ。株価は、上場後の高値から約3分の1下落し、時価総額は約8500億ドル(約138兆円)減少した。
上場から数週間で株価がIPO価格を下回る事態となれば、企業と主幹事証券が、投資家の期待を高めるために周到に演出してきたシナリオが崩れることになる。株主がこれほど早い段階で含み損を抱えることは投資家心理への打撃となり、新規上場企業の中にはその後回復できないケースもある。
市場には懐疑的な見方もあり、スペースX株の予想株価売上高倍率(PSR)が30倍超と、ナスダック100指数採用銘柄の中でも極めて高く、パランティア・テクノロジーズに迫る水準だとも指摘されている。さらに、今後数カ月にわたりロックアップが段階的に解除され、内部関係者による株式売却が続く見通しだ。
「スペースX株はまだ底を打っていないと考えている。今後数カ月は継続的に売り圧力が生じるため、より幅広い投資家層に需要が広がるかどうかを見極める必要がある」とマホニー・アセット・マネジメントのケン・マホニー最高経営責任者(CEO)は述べた。
ウォール街ほぼ強気一色
スペースX株は、早期採用ルールに基づき、1週間前にナスダック100指数に組み入れられたばかりだ。月面基地や将来的な火星移住計画を盛り込んだ異色の成長ストーリーに対し、アナリストからは極めて強気の評価が相次いでいた。
ブルームバーグが集計したデータによると、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループなど十数社が、いずれも「買い」に相当する判断を付与した。
スペースXを担当するウォール街アナリストの80%以上が買いを推奨し、大幅な上昇余地を見込んでいる。平均目標株価は236.25ドルで、14日の終値を70%余り上回る水準だ。
新規上場銘柄の株価が大きく変動すること自体は珍しくない。トゥルイスト・ウェルスが過去15年間の主要テクノロジー企業30社のIPOを分析したところ、上場初年度の最大下落率は平均55%だった。
スペースXは、上場初日に終値160.95ドルをつけたが、その後に初日の値上がり分をすべて失った。ただ、こうした動きは同社だけではない。ブルームバーグ集計データによると、今年の米IPO市場は記録的なスタートを切ったものの、大型案件の多くで値動きは不安定となっており、上位10件のIPOのうち6件は初日終値を下回って取引されている。
過去1カ月足らずの間に、スペースXと韓国の半導体メモリー大手SKハイニックスの米国預託証券(ADR)が相次いで記録的な上場を果たした。投資家や証券会社は、これらの銘柄が今後数週間、どのように推移するかを注視する見通しだ。
ブルームバーグのデータによると、特別買収目的会社(SPAC)を除く2026年の米IPO銘柄の加重平均リターンは7月13日時点で5.3%へ低下し、スペースX株の下落が重荷となった。これらIPO銘柄のリターンは、前日時点のS&P500種株価指数の上昇率のおよそ半分に落ち込んだ。
一方、スペースX株がIPO価格を下回れば、IPOで株式を取得できなかった投資家が割安な水準で買いを入れる押し目買いが広がる可能性もある。
IPO価格を下回る水準となれば魅力的な買い場となるかもしれないと、ウェルス・コンサルティング・グループのチーフ・マーケット・ストラテジスト、タリー・レジャー氏はみる。レジャー氏は、スペースX株が間もなくナスダック100指数へ組み入れられることを見越し、IPOには参加しなかった。同社はナスダック100指数に連動するファンドを運用している。
レジャー氏は、「下落がさらに続くようであれば、個別株として買いを検討するかもしれない。同社が掲げる理念や目標に魅力を感じている」と述べた。
原題:SpaceX Fizzles to Close $1 Above IPO Price Weeks After Debut(抜粋)
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