片山さつき財務相と上野賢一郎厚生労働相は14日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成割合(ポートフォリオ)の修正に前向きな姿勢を示した。発言を受け、円と債券が上昇に転じた。

片山財務相は14日の閣議後会見で、GPIFの運用環境が大きく変わるなどの可能性があれば、「検証が行われたり、必要があれば修正が行われるということはある」と発言。基本的にはGPIFのルールや厚労省の考えがあるとし、「しっかりと相談をしていきたい」とした。

上野厚労相も同日、資産構成割合はGPIFが毎年度、適時適切に検証しており、「必要があれば見直しの検討を進めることになる」とした上で、厚労省として検証状況を注視すると述べた。

片山さつき財務相

一方で、現在の環境が「基本ポートフォリオが想定しているものから大きくかい離しているとは考えていない」との認識を示した。

上野厚労相はGPIFの国内投資について、株式や債券以外のオルタナティブ資産に資金を投じていることに触れ、「国内プライベートエクイティーをはじめとする国内案件について着実に投資を積み上げている」とも指摘した。

GPIFの広報担当者は、「基本ポートフォリオについては、専門的見地から、毎年度適時適切に検証しており今後必要があれば、見直しの検討を進めることになる」としている。

オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、財務相に加えて所管する厚労相もGPIFに言及したことについて、「もう一歩踏み込んでいる」と指摘。「おいそれとはできないかもしれないが、『いつかやるぞ』というメッセージだ」と述べた。

片山財務相は10日、「GPIFをはじめとする年金基金に、日本の金融資産にさらに投資してもらう方向で後押しする方策を追求したいと考えている」と発言。これを受け、日本資産に対する期待感から債券、円、株式がそろって買われるトリプル高となった。市場では発言の意図を見極める動きから、その後の発信を注目していた。

上野賢一郎厚労相(7月14日、国会内にて)

国債をNISAの対象に

片山財務相は、国民民主党が法案を提出した少額投資非課税制度 (NISA)の対象への日本国債の追加についても、「やっていく時ではないか」と前向きな姿勢を示した。

その上で、金利のある世界となる中でポートフォリオの多様化は「国民にとってプラスという声が多い」とも語った。

国民は10日、個人が購入する国債をNISAの対象商品とし、組み入れた国債は相続税の対象外とする法案を参議院に提出した。現在、国債の利子は受取時に税金として20.315%分が差し引かれる。法案では、NISA口座で国債を購入した場合、利子や譲渡所得に加え、本人が死亡した場合の相続税も非課税とする。

片山氏は6月の国会で、国債は預金に類する貯蓄性の商品であると指摘。個人金融資産を「貯蓄から投資」へ振り向ける観点で創設したNISAの対象とすることには慎重な姿勢を示していた。

両大臣の発言を受け、国内投資拡大への期待から円が買われ、対ドルで一時162円20銭台まで上昇した。国債市場でも買いが優勢となり、午後に実施された20年国債入札では、GPIFを含む年金勢の需要への思惑から旺盛な買いが集まった。

20年債利回りは一時前日比11.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い3.63%まで低下するなど、全年限で利回りが水準を切り下げた。

ブルームバーグ・ストラテジストの見方

片山財務相がNISAの対象に追加する案に言及したことを受け、日本国債は入札前から上昇していた。今回の結果により、相場の一段高につながる公算が大きい。

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片山財務相の国債版NISAに関する発言に関してオーストラリア・ニュージーランド銀行の町田氏は、「高齢者など日本の預金が国債に動くとなれば、円買い、JGBの安定材料」との見方を示した。もっとも、こうした議論は中長期的なテーマでもあり、これだけで市場の方向感が変わるわけではないと付け加えた。

(20年国債入札の結果などを追加して更新します)

--取材協力:佐野七緒、日向貴彦.

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