今の米国では、一人前の大人になる通過儀礼の一つが、自分の携帯電話料金を自分で支払うことだ。この基準に照らせば、多くの人々が長引く思春期にとどまっていることになる。中年に差しかかった人でさえそうだ。

保険大手ノースウェスタン・ミューチュアルが最近公表した調査によると、50代や60代の一部を含む多くの米国人が、親からの経済的支援に頼っている。回答者全体の56%は、過去の世代よりも経済的自立を達成することが現代は難しいと答えた。

米連邦準備制度理事会(FRB)も毎年、家計の経済的状況に関する調査を実施しているが、こちらも請求書の支払いで親に頼る人が増えていることを示した。

2025年には回答者の約23%が何らかの外部支援を必要としており、17年の10%から増加した。これには30-44歳の米国人の25%以上が含まれる。

多くの面で、これは驚くべきことではない。米国は現在、アフォーダビリティー(価格の手頃さ)の危機に直面している。住宅費は急騰し、エネルギーや食品の価格も上昇した。賃金は昨年、インフレ調整後で低下し、労働市場も弱含んでいる。

特に新卒者への影響が大きい。学生ローン残高は過去最大に達している。一方で、少なくとも現時点では、多くの若者が生活コストの高い大都市で暮らすことをキャリア形成に不可欠だと考えている。

生涯にわたる貯蓄と堅調な株式市場のリターンによって過去最高水準の資産を保有する高齢の米国人は、子どもにいくらか還元するのは当然だと考えているのかもしれない。

文化的変化

こうした親への依存の高まりは、資産や所得だけでは説明できない。若い成人の所得は10年間の停滞を経て、この数年で増加している。金融資産も増えている。

FRB調査の内容を詳しく見ると、実際にはそれほど大きく状況が変わったわけではないことも示唆される。17年と比べ、現在は3カ月分の緊急支出に対応できる蓄えを持つ人の割合がやや増えており、30-44歳ではその割合は半数に達する。

調査対象者の約70%が自身の家計状況は良好だと回答しており、この比率は17年以降ほぼ変わっていない。

親からの資金援助が彼らの生活を支えている可能性はある。それが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前と比べて経済状況が悪化していないように見える理由かもしれない。

また、妥当とされる生活水準への期待も高まっている。周囲に後れを取らないために、以前より多くの資金が必要になっている。

親への依存度上昇は、文化的な変化を反映している可能性もある。1世代前であれば、親と同居していることは人生で何かがうまくいかなかったことの表れだった。今では、それは単に賢い節約方法と見なされている。

パンデミックは、自宅で暮らすことや家族あるいは政府から資金援助を受けることに関する社会規範も変えた。自力で成功することは、もはや誇るべきことでも、目指すべき目標でもなくなっている。こうした変化は、人々が以前より親と近い関係の中で育った結果なのかもしれない。

理由が何であれ、親への過度な依存は憂慮すべき傾向だ。まず、不平等を拡大させる。もし現在の米国で成功するために家族の支援が必要なら、家族から支援を受けられない人々は一段と取り残されることになる。

また、米国にはニーズに基づく教育向け経済支援制度はあるが、成人初期や中年期を対象とした制度は、少なくとも今のところ存在しない。

若い頃の苦労は、人々を結び付ける側面もあった。劣悪なアパートで暮らし、家賃を払うのに苦労し、即席麺を食べながら、それでも自立を主張する。

時には、経済的リスクと共に生きることが重要なモチベーションになることもある。だが今、米国には新たな分断が生まれている。援助を受けられる人と受けられない人を分かつ格差だ。

(アリソン・シュレーガー氏は、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。経済を担当し、マンハッタン研究所のシニアフェローも務めています。著書には「リスクテイクの経済学-気鋭の学者と現場で探る、賢いリスクの選び方」があります。このコラムの内容は個人の意見で、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの見解を反映するものではありません)

原題:Too Many Kids Rely on the Bank of Mom and Dad: Allison Schrager(抜粋)

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