(ブルームバーグ):AI開発企業アンソロピックは9日、米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ元議長を長期公益信託のメンバーに任命した。同信託は、同社が公益的な使命に沿った事業運営を行うよう監督する組織だ。
バーナンキ氏は経済学者で、現在はブルッキングス研究所の特別フェローを務める。2008年の世界金融危機とその後の景気回復期にFRB議長を務めた。FRB議長に就任する前は、プリンストン大学で経済学部長を務め、大恐慌の研究でノーベル経済学賞を受賞した。
今回の人事の背景には、AIが社会に及ぼす影響への懸念の高まりがある。AIによって幅広いホワイトカラーの仕事が代替される可能性に加え、新技術への巨額投資が金融バブルを招いているとの懸念も広がっている。世界有数の企業価値を持つスタートアップ企業のアンソロピックは、こうした課題についてバーナンキ氏の助言を得ることになる。

バーナンキ氏は就任発表の声明で、「AIの可能性は計り知れないが、その行く末にはさまざまなシナリオが想定される。AIがどのような形で展開していくかは、それを取り巻く制度や組織をどう構築するかにも左右される」と述べた。
バーナンキ氏を含む4人の長期公益信託のメンバーは、取締役の過半数を選任する権限を持つほか、自ら選任した取締役を解任することもできる。
長期公益信託のメンバーはアンソロピックの株式を保有せず、経済的な利害関係を持たない。「パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)」であるアンソロピックが、投資家と公共の利益の双方に配慮した経営が行われるよう監督する役割を担う。
アンソロピックによると、信託メンバーはAIのリスクや社会への影響に関わる問題を含む重要な経営判断について、経営陣に助言することが期待されている。
バーナンキ氏は「アンソロピックは、AIが人類にもたらす長期的な利益がリスクを大幅に上回るようにすることを目指して、独自のガバナンス体制を構築した」と説明した。
アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は、AI技術の高度化によって今後数年でホワイトカラー職の半分近くが代替される可能性があるとの見方を示している。同社は今年後半にも新規株式公開(IPO)を行う見通しだ。
原題:Former Fed Chairman Ben Bernanke Joins Anthropic Oversight Trust(抜粋)
(最後の2段落を加え、更新します)
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