(ブルームバーグ):日本銀行が9日に開いた支店長会議では、中東情勢の緊迫化によって高まった地域経済の下振れリスクが、代替調達の進展やA関連需要の拡大などを背景に低下したとの報告が聞かれた。
報告をまとめた「各地域から見た景気の現状」によると、輸出・生産には物流の停滞や原材料不足に伴う影響が見られるが、「代替調達の進展や輸送経路の見直しなどにより、大幅に減少する可能性はひところよりも低下している」という。世界的なAI需要で半導体製造装置や電子部品の受注が一段と増加しているとの報告もあった。

会見した藤田研二理事・大阪支店長は、代替調達の進展やAI関連需要の拡大などを背景に、中東情勢の緊迫化で高まった関西地区経済の「下振れリスクは低下した」と指摘。先行きも管内企業は全体として良好な収益環境を見込んでいるとし、人材獲得の観点から、積極的な賃金設定行動が必要との認識が維持されていると述べた。
日銀は6月に政策金利を31年ぶりの高水準の1%程度に引き上げており、これまでの利上げによる地域経済への影響も関心事となっている。支店長会議では依然として不透明な中東情勢を受けた各地の企業の事業計画や賃金・価格設定行動の変化の有無が注目されたが、総じて利上げ路線を支える内容となった。
価格設定行動については、エネルギー・原材料高を背景に、人件費や物流費の上昇を販売価格に転嫁する動きが継続しているとの声が多かった。企業間での価格転嫁は従来より速いペースとの報告も多数あった。食料品や日用品などの消費関連企業でも多くが値上げを検討しており、時期は夏場以降を予定しているという。
日銀が進めている利上げの影響について上口洋司名古屋支店長は会見で、貸出金利が上昇している中でも「企業の資金需要が抑制されていることはない」と説明。緩和的な金融環境が維持され、「経済活動をサポートしている」と語った。
さくらリポート
会議に合わせて公表した地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域全てが景気の総括判断を据え置いた。一部に弱めの動きも見られるが、全ての地域で、景気は「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」としている。
日銀が1日発表した6月短観では、大企業製造業の業況判断DIが約8年ぶりの高水準になるなど、市場予想に比べて強めの結果となった。企業金融についても緩和的な状況が続いていることが確認された。
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