(ブルームバーグ):ウィンブルドン選手権で英国勢で唯一勝ち残っているワイルドカードのアーサー・フェリー選手が快進撃を続けている。父はサッカー好きのヘッジファンド創業者、母は元プロテニス選手だ。
フェリー選手は8日、センターコートで第9シードのフラビオ・コボリ選手(イタリア)をストレートで下し、準決勝進出を決めた。会場で試合を見守った父ロイック・フェリー(Loic Fery)氏は、欧州有数のクレジット運用会社チェナバリ・インベストメント・マネジャーズの創業者。母オリビア・フェリー氏も元プロテニス選手だ。
ロイック氏は14年間にわたりフランスのサッカークラブ、FCロリアンのオーナーを務めた。今年1月に保有株式を、富豪ビル・フォーリー氏率いるブラックナイト・フットボール・クラブグループに売却したが、現在もクラブ会長を務めている。

ロイック氏はクレディ・アグリコル傘下カリヨンのクレジット市場部門責任者を経て、2008年の金融危機時にチェナバリを共同創業した。ロンドン、パリ、アブダビに拠点を置き、欧州クレジット市場を対象とするオルタナティブ運用会社で、同社ウェブサイトによると運用資産は約58億ドル(約9400億円)。新型コロナウイルス禍ではクレジットスプレッドの拡大を背景に好成績を収め、20年3月には運用するファンドの1つが推計73.5%のリターンを記録した。
歴史あるウィンブルドンのテニスコートから5分ほどの場所で育ったフェリー選手は、世界ランキング114位で今大会に出場。ウィンブルドンの学校を卒業後、米カリフォルニア州のスタンフォード大学へ進学し、全米大学シングルスランキング1位まで上り詰めた。
身長約175センチの23歳。小柄ながら卓越した運動能力と俊敏さで知られる。世界で最も権威あるテニス大会の1つであるウィンブルドン選手権で、決勝進出を目指す。決勝進出が実現すれば、英国男子選手としては2016年のアンディ・マレー氏以来となる。
8日のセンターコートは、普段の落ち着いた雰囲気とは打って変わり、熱気に包まれた。フェリー選手がリードを広げるたびに、観客は「アーサー!アーサー!」と大声で声援を送り、主審が静粛を求める厳しい注意を与える場面もあった。
フェリーはポイントを奪うたびに拳を握り、「カモン!」と叫んで自らを鼓舞。ロイヤルボックス最前列ではカミラ王妃が観戦し、英国勢の快進撃に声援を送った。
第3セットを6-0で奪い、勝利すると、フェリー選手は信じられないという様子でコートに倒れ込んだ。ワイルドカードでウィンブルドン準決勝に進出したのは史上2人目。観客は総立ちで歓声を上げ、その熱気はテニスというよりサッカーの試合を思わせた。
試合後のインタビューで、準決勝で対戦するドイツのアレクサンダー・ズベレフ選手への準備について問われると、「分からない」と答え、「こんな状況は初めてだから」と語った。
原題:Hedge Fund Scion Arthur Fery Storms Into Wimbledon Semis (2)(抜粋)
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