ウォール街の大手金融会社の幹部らに対し、人工知能(AI)の台頭で、ソフトウエア関連企業への投資の価値が損なわれていないか問いただす動きが最近相次いだ。

幹部らの口からは何も問題はないという共通のフレーズが繰り返されてきた。

しかし、これらの企業に投資するミューチュアルファンド(投資信託)の公開データを見る限り、投資価値の急落に伴い、プライベート市場の投資家が数百億ドルの含み損を抱える様子がうかがえる。

データ分析・活用のプラットフォームを提供するソフトウエア会社データブリックスは、ブラックロックやインサイト・パートナーズ、タイガー・グローバル・マネジメントから支援を受けている。規制・監督当局への提出資料によると、ミューチュアルファンドは今年1-3月(第1四半期)、データブリックスの評価額を平均16%引き下げた。

オンライン・グラフィックデザインツールを提供するCanva(キャンバ)の評価額は15%、ビデオゲーム開発会社エピック・ゲームズも22%それぞれ引き下げられた。Canvaには米ヘッジファンド運営会社コーチュー・マネジメントなどが出資し、エピック・ゲームズの株式は大手ミューチュアルファンドのほか、KKRを含むプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社やベンチャー会社が保有している。

プライベート市場への投資に潜む痛みの大きさを把握する目的で、ブルームバーグ・ニュースは、ミューチュアルファンドの数百のポートフォリオで、約50社の非上場ソフトウエア会社の価値がどのように評価されているか調査した。公開情報によれば、平均20%の評価引き下げが行われ、50%を上回る会社もあった。

非上場ソフトウエア会社に小規模投資を行うクリアブリッジ・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、アラム・グリーン氏は「投資意欲も明確な出口もない状況を彼らは承知している」と説明。評価額の下方修正について「前兆であり、こうしたことがさらに増えるだろう」との認識を示した。

評価の引き下げは、ソフトウエア業界で進行する劇的な変化を浮き彫りにする。一方、PEやヘッジファンド、ベンチャー会社はミューチュアルファンドと異なり評価額を公開する義務がなく、不透明なポートフォリオを垣間見る貴重な機会となった。

流動性の低い資産の適正市場価値を算定することは、ウォール街を長年悩ます厄介な問題だ。AIの時代となった今、プライベートファンドによるソフトウエア企業投資の現在価値を評価することは、特に難しい。AI企業は低コストで迅速なソフトウエア開発が可能であり、ソフトウエア業界にとって存亡の危機とも指摘される。

だがプライベート資産運用会社は、これが誇張された見方であり、少なくとも最もリスクの高い投資案件はおおむね回避してきたと主張している。

テクノロジーに特化したファンド運営会社ナイルズ・インベストメント・マネジメントの創業者ダン・ナイルズ氏は「経営陣が『わが社は存続不能だ』とはっきり言うのを聞くことなどあり得ないだろう」と主張する。

サンフランシスコで先月開催されたデータ+AIサミットのデータブリックスのブース

業界がこうした痛みを意識し始めている兆候も見られる。ベイン・アンド・カンパニーの最近のリポートによると、PEのポートフォリオに含まれるソフトウエア会社のバリュエーション(株価評価)は、今年1-3月に推定8%低下した。

フィデリティ・インベストメンツやバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)の資産運用部門、キャピタル・グループに加え、フランクリン・リソーシズ傘下のクリアブリッジやハートフォード・ファンズといった比較的小規模な運用会社も一層厳しい評価引き下げに動いた。

最も大幅な評価引き下げの対象となった企業には、機械学習ソリューションを提供するデータロボット(50.8%)やソフトウエアソリューション会社アウトリーチ(51.4%)が含まれる。両社の株式はウォール街のプライベートマーケット分野の大手数社が保有している。

原題:Software Markdowns at Mutual Funds Hint at Private Markets’ Pain(抜粋)

(大幅な評価引き下げ対象となった企業名などを追加して更新します)

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