“EV後進国”とされる日本で、中国のEV最大手が今月末から販売を開始します。メーカーの名前はBYD。その戦略を取材しました。

記者
「中国では電気自動車は緑のナンバープレートになるのですが、こちらの乗用車は緑、その後ろのタクシーも緑、その後ろもまた緑と、中国にいかに電気自動車が浸透しているのかがよくわかります」

公安当局の発表ではその数1000万台以上と、世界一です。

一方、日本はというと、充電スタンドの不足やハイブリッド車の価格が比較的手頃なことから、新車販売数に占めるEVの割合はわずか1%未満とされています。

その日本で、今月末からEVの販売を始めようとしているのが中国のEV最大手「BYD」です。

上海で会社を経営するこちらの中国人女性。愛車は7年前に購入した「BYD」で、次の車もBYDは有力な候補だといいます。

会社を経営する女性
「今のEVは全部格好良くて、中の電子部品もそんなに変わらないけど、唯一差があるのがバッテリー品質です」

BYDは、低価格帯から中価格帯のモデルを量産。去年上半期はアメリカのテスラを抑え、EV販売台数が世界一となりました。

なぜ今、日本に進出するのか。

BYD広報担当 羅昊さん
「実は、BYDは日本市場に進出したばかりの企業ではありません。私たちは何年も前から日本市場を開拓していますから」 

BYDは2015年、「EVバス」と「EVフォークリフト」で日本に進出。入念に準備していたというのです。

記者
「BYDのウリとされるバッテリーが展示されています。実際に持たせてもらいます。細長いのですが、割と重さはずっしりとある感じです」

寿命や安全性をアピールするため、BYDは独自の実験を公開しました。まず用意されたのは、他社のEVなどに使われているというバッテリー。針を刺してショートさせ、発火するかどうか確認すると…、大爆発。

一方、BYDが開発した「ブレードバッテリー」は…、針が刺さった後も変化はありませんでした。

日本でまず販売されるのは、SUV=スポーツ用多目的タイプの「ATTO3」。

記者
「加速がすごく速いです。踏んだ瞬間に反応する。馬力はあるんだと思います。坂道はかなりスムーズですね」

日本政府は2035年までに、全ての新車販売をEVにすると宣言。充電スタンド設置も規制緩和の動きがあり、BYDは「最高のタイミング」と判断したようです。

BYD広報担当 羅昊さん
「日本市場のニーズに合った製品を次々と発売し、より多くの消費者に受け入れてもらえるようにします。そうすれば、より良いブランドを打ち立てることができると思います」

EVの“黒船”は、2025年までに100店舗出店するとしています。