(ブルームバーグ):3日の日本市場では株式が上昇。米利上げ観測の後退や原油相場の落ち着きなどが投資家心理を支える中、AI・半導体関連以外にも買いが広がった。ドル高一服や介入警戒感から円は対ドルで160円台後半に上昇。長期金利は約30年ぶり高水準を付けた後、低下(債券価格は上昇)に転じた。
6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回り、早期利上げ観測が後退する中、2日の米国市場では半導体関連株から景気敏感株などに資金を移す動きが強まった。
日本株は午後に上げ幅を拡大した。銀行や機械、自動車やサービスなどが高く、東証株価指数(TOPIX)構成銘柄の約8割が上昇。朝方に1100円超下げる場面があった日経平均株価も1010円高で終えた。指数寄与度の大きいAI・半導体関連は強い収益期待から持ち直し、一時12%下げたキオクシアホールディングスは9.2%高で引けた。
SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長は、株式が堅調なのは「ベースに景気や企業業績がしっかりしていることがある」と指摘。AI関連株については、下がれば買う動きがあるものの、株価のフェアバリューが見えにくい中で売り買いが交錯していると述べた。
株式
株式市場はAI関連株のボラティリティーが高い状態が続いているが、インフレ懸念の後退や景気の底堅さに加え、AI関連で特に値動きの大きい日韓の半導体メモリー株が上昇転換したことも投資家心理を支えた。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、AI関連以外への資金ローテーションが続くかどうかは決算次第だと指摘。「AI関連は悲観的な見通しが強まっているわけではなく、決算で成長期待が維持されればまた買い戻しが入るだろう」と話した。
個別では指数寄与度が大きいファーストリテイリング株が4日ぶりに反発。6月の国内ユニクロの既存店売上高は前年同月比で減少したものの、アナリストは天候不順などの影響が大きく懸念は不要だと指摘した。

為替
円は対ドルで160円台に上昇。米雇用統計を受けてドル高に一服感が出たほか、為替介入への警戒感もくすぶり、午後に一時160円台半ばまで買われる場面があった。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、円の上昇について「特段ニュースが出ているわけでもなく、欧州勢が入ってきたためだと思う」と話した。前日から持ち高を調整する動きがあり、「米国が祝日ということで少しの動きで値が動く」と言う。
片山さつき財務相は午前の閣議後会見で、円相場について、必要に応じていつでも適切に対応すると語った。また、為替対応では日米でもいつも緊密に連携していると説明した。円は今週、日本銀行の利上げの遅れや財政拡張に対する懸念から一時162円84銭まで下落し、約40年ぶり安値を更新した。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、2日に韓国当局者が協調的な為替介入の可能性を示唆したことなどから、市場では当局の為替介入が意識されていると指摘。「日米韓の協調となれば、普通の介入より効果が大きい」と話した。

債券
債券は2日に行われた10年債入札の弱い結果が影響し、長期債で売りが先行したものの、その後上昇に転じた。
東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジストは、ここ数日下げていた反動のほか、10年債の利回りの高さや新発債への需要で押し目買いが入り、相場は持ち直すと予想していた。
市場では相場は軟調な展開が続くとの見方も多い。新発10年債利回りは朝方に2.81%と1996年以来の高水準を更新する場面があった。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、長期金利上昇の背景には「骨太の方針」の原案により、インフレに対して日銀の政策が後手に回るビハインド・ザ・カーブや財政悪化への懸念が強まったことがあると指摘した。
片山財務相は閣議後会見で「国債市場の信認、財政の持続可能性を維持して、責任ある積極財政をやることが今の方針ではっきり確認されている」と指摘。「そのようにきっちりとやっていくということを、実行も含めて示していく」ことが大事だとの認識を示した。
新発国債利回り(午後3時時点)

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