暗号資産(仮想通貨)に当初、懐疑的な姿勢を示していたものの、その後は業界最大級の支援者に転じたトランプ米大統領。そのトランプ氏が昨年、米国の上場デジタル資産企業のいずれをも上回る暗号資産関連収入を得ていた。

米政府倫理局(OGE)が6月30日に公表した927ページに及ぶ資産開示資料によると、トランプ氏は暗号資産関連事業から少なくとも14億ドル(約2275億円)の収入を計上した。

このうち、同氏と息子らが共同設立した暗号資産会社ワールド・リバティ・ファイナンシャルから約5億9400万ドル、ミームコイン事業に関連して約6億3600万ドル、さらにステーブルコイン・ホールドコに関連する持ち分売却から約1億9700万ドルを得た。

暗号資産関連収入は、ホテルやゴルフリゾートなど他の事業収入を含む今回の開示資料の中で、最大の収入源となった。

トランプ氏の暗号資産関連収入のほぼ全ては、継続的な事業収益ではなく、トークンや持ち分の一時的な売却によるものだった。一方、米国上場の暗号資産交換業者で最も高い収益を上げているコインベース・グローバルは公開企業の会計基準に基づき、昨年の純利益が12億6000万ドルだったと報告している。

なお、トランプ氏の資産開示は自己申告に基づくものであり、適用される開示ルールは公開企業とは異なる。

トランプ氏は7月1日、自身の収入額について過大視すべきではないとの認識を表明。大統領に選ばれた時点で自分は既に資産家だったと述べた。また、大統領職を利用して不適切に利益を得ているのではないかとの記者団の質問はかわした。

昨年10月10日には、約190億ドル規模の高リスクポジションの手じまいを契機に、暗号資産市場が急激な売りに見舞われ、一部の企業が損失を被った。世界最大の暗号資産ビットコインはその数日前に12万6000ドル超の過去最高値を付けていたが、現在はその半分未満の水準で取引されている。

ビットコイン急落を受け、マイニング業者はAI関連事業への転換を加速させた一方、多額の設備投資が損失につながった。デジタル資産取引所も売買活動の鈍化に見舞われた。また、実質的にビットコインの大量保有を主な事業とする米ストラテジーは、ビットコインの急落を受け、38億ドルの損失を計上した。

トランプ氏は24年大統領選の選挙運動で暗号資産業界への支持を打ち出した。政権2期目では、ステーブルコイン発行体に関する新たな法整備を含む重要な規制面での成果を挙げたほか、業界寄りと見なされる規制当局者を起用してきた。

米証券取引委員会(SEC)は、バイデン前大統領の下で暗号資産業界に相次いで法執行措置を講じてきたが、トランプ政権下では主要なデジタル資産交換業者に対する法的手続きを取り下げた。

またトランプ氏は、世界最大の暗号資産交換業者バイナンス・ホールディングスの共同創業者で、マネーロンダリング(資金洗浄)対策を怠ったことや米制裁違反について有罪を先に認めていた趙長鵬(チャンポン・ジャオ)氏ら暗号資産業界の幹部を恩赦した。

ホワイトハウスは一貫して、トランプ氏は一族の暗号資産事業の運営には関与しておらず、利益相反には当たらないとの立場を示している。

昨年、トランプ氏のミームコイン保有上位者の大統領夕食会に参加したクロノス・リサーチのビンセント・リウ最高投資責任者(CIO)は、「暗号資産のセンチメントにトランプ氏がプラスであることは間違いない」と述べた。

原題:Trump’s $1.4 Billion Haul Makes Him Biggest US Crypto Moneymaker(抜粋)

--取材協力:Dave Liedtka、Bill Allison、Gregory Korte.

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