2日の外国為替市場で、円相場が対ドルで一時160円台後半まで上昇した。日本の通貨当局が円安是正に向け、市場を不意打ちする形で再び為替介入に踏み切る可能性が意識され、投資家は警戒感を強めている。

三村財務官

円は日本時間2日夕の取引でニューヨーク終値比1%高の1ドル=160円91銭まで上昇する場面があった。正午過ぎまで162円50銭台で膠着(こうちゃく)していた。ロイター通信はこの日、日本政府が4月30日の介入時のように市場へ事前にシグナルを送る手法を見直す可能性があると報道。こうした戦略は、円売りポジション(持ち高)を積み上げる投機筋が不意を突かれる形となり、より効果的になり得るという。

日本の為替政策を統括する三村淳財務官の発言も、市場関係者が介入への警戒感を高めている一因だ。三村氏は1日のブルームバーグのインタビューで、財務省がこれまで繰り返してきた「断固たる措置」との文言をあえて口にしなかった。市場では、この文言は為替介入の可能性を示唆するメッセージとして受け止められている。

みずほ銀行のシニア為替ストラテジスト、中島將行氏は3日午後のニューヨーク市場は、4日の独立記念日の祝日に伴い実質的に市場が閉まるため、流動性の低下が見込まれると指摘。米雇用統計が予想を下回りドル売りが広がれば、介入は戦術的により効果を発揮しやすくなると述べた。

報道や財務官の姿勢を受け、為替トレーダーらは2日に発表される米国の雇用統計を注視し、相場も神経質な展開を強いられている。同統計がドル・円相場を大きく動かす可能性のほか、流動性が低下する中で介入が実施された場合、相場への影響は通常よりも大きくなるからだ。

オプション市場では、急激な円相場の変動に備えるヘッジが増加している。3つの権利行使価格を組み合わせた通貨オプション戦略の一つで、ドル・円が急変動する可能性を示すバタフライスプレッド(1カ月物)は高水準で推移し、市場介入への警戒感の高まりを示している。

政府・日銀は4月28日から5月27日の間に月次で過去最大規模となる約11兆7300億円の円買い介入を行った。円は一時155円近辺まで上昇したものの、その後は日銀が6月の金融政策決定会合で31年ぶりの高水準へ政策金利を引き上げ、上昇分をほぼ失った。

ナショナルオーストラリア銀行(NAB)の為替ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は「介入には元々サプライズの要素がある」と指摘。「財務省は逆心理を利用した新たな戦術を試しているようにも見えるが、実際には従来の対応と大きな違いはない」と述べた。

コモンウェルス銀行のストラテジスト、キャロル・コン氏は「サプライズ介入の可能性は投機筋が円売りポジションを積み増す前に慎重になる要因となるだろう」と指摘。一方、ドル・円相場を左右する最大の要因は「依然として米金利だ。米雇用統計が再び上振れすれば、介入リスクがあってもドル・円は一段と高値を更新する可能性がある」とみている。

ブルームバーグ・ストラテジストの見方:

韓国当局者の発言が協調的な為替介入の可能性を漠然と示唆し、外国為替市場でドル・円相場は162円に向けて下落している。ドル・ウォン相場も2日の高値から下落し、日本国債の利回りは10年債入札を受けた上昇基調を維持している。

現実問題として協調介入の実現には高いハードルがあるだろう。ただ、市場参加者がドルの買い持ち高を積み上げている局面では、当局者の発言を受けた反射的なドル売りは止まらない。日本が次回の円買い介入でサプライズ戦術を用いる可能性を示した報道も、値動きを後押ししている。

-MLIVストラテジスト、マーク・クランフィールド、関連記事はMLIV

(ストラテジストのコメントを最終段落に追記)

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