みずほ銀行によると、歴史的な円安を受け、投資家は円相場を分析する代表的な手法の一つを見直す必要に迫られている。

為替ストラテジストは長年、ドル・円相場を予測する際に日米の金利差を手掛かりとしてきた。通常、日本の金利が米国の金利に対して相対的に高くなれば、円を支える要因になると考えられてきた。しかし、近年はこの関係が逆転し、日本の金利が上昇する一方で円安が進んでいる。

日本の紙幣

みずほ銀行で欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域のFICCストラテジー責任者を務めるジョーダン・ロチェスター氏はリポートで、「金利と為替の相関の逆転を見る限り、円はもはや主要10カ国(G10)通貨のような値動きをしていない」と指摘した。こうした変化の背景には、トランプ米大統領の「解放の日」関税をきっかけとした市場混乱後の為替ヘッジ行動の変化や、日本国債市場への海外投資家の参入拡大があると分析した。

円相場は今週、1986年以来となる1ドル=162円台に下落した。政府・日本銀行は、円の160円突破を受けて4月28日から5月27日の間に月次で過去最大となる11兆7300億円(721億ドル)の円買い介入を実施したが、この1カ月は介入を見送っている。

市場関係者の間では次の節目として163円やそれ以上の円安水準が意識されている。当局が2024年の介入実施時よりも円安を容認している可能性があるとの見方が背景にある。

もっとも、相関関係の変化は、円が新興国通貨のような値動きをすることを意味するわけではないとロチェスター氏は分析する。

金利と為替の従来の関係が一時的に崩れる現象は、英国のトラス政権時代のポンドを含め、市場にストレスがかかる局面では他のG10市場でも見られてきたと説明。その上で、円相場が「新たな短中期的な局面」に入ったことで、投資家は日本の金利が上昇すれば円高になると単純に考えることはできないと指摘した。

--取材協力:近藤雅岐.

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