(ブルームバーグ):三村淳財務官は1日、40年ぶりの円安が進行する中、日米通貨当局の連携は最も緊密な状態にあるとの認識を示した。政府・日本銀行による為替介入については、しばらく円安の加速を食い止めた点で効果があったと振り返った。
同日、ブルームバーグの単独インタビューに応じた。三村財務官は、為替対応に関する日米関係が「これ以上深まりようがないくらい深まっている」と指摘。4月末以降に実施した為替介入後も、米側からの異論は「ただの一度も出ていない」とし、日頃から頻繁に連絡を取り合っていることを強調した。
日米両国の財務相は2025年9月、為替に関する共同声明を公表。過度な変動がみられる場合は介入で対応ができるとの認識を共有した。ベッセント米財務長官も、過度な為替変動は望ましくないとの認識を示し、日本の介入を事実上容認する姿勢を見せている。
三村財務官は、介入について「その後の動きを見れば明らかに意味はあったのではないか」と分析した。財務省によると、政府・日本銀行は4月28日から5月27日の間に計11兆7349億円の為替介入を実施した。

月次ベースの介入額としては過去最大で、円相場は1ドル=160円台から一時155円台まで急伸した。介入前の水準に戻るまでの期間は1カ月超だった。1日の為替市場は一時162円84銭まで下落し、1986年12月以来の安値を更新。三村財務官の発言を受け、円相場は162円60銭台まで上昇した。
円安が続く背景には日米金利差が再び拡大するとの見方が強まっていることも背景にある。市場は米連邦準備制度理事会(FRB)が今年後半に利上げへ転じると予想している。
これに対し、三村財務官は米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーが予測する今後の政策金利の適切な水準を示すドットプロットを見る限り、「2回も3回も利上げをするというふうに書いてあるとは思っていない」との見解を示した。
最近の円安を巡っては、片山さつき財務相が閣議後会見などでけん制する場面があった一方、三村財務官は発信を手控えてきた。市場では、相対的に露出が少ない三村財務官の発言への注目度が上がっていた。
ただ、インタビューでは強く円安をけん制する発言はみられなかった。投機的な動きについては「常に注視している」としたものの、為替動向や背景に関するコメントは控えた。片山財務相が「必要に応じ、いつでも適切に対応する」と発言している以上に、今の時点で付け加えることはないとも話した。
積極的にメッセージを発するのではなくあえて静観の姿勢を取ることで、当局の次の一手が読まれないよう、市場に疑心暗鬼を植え付けたい意向が透ける。「市場とのコミュニケーションには、言うだけではなく言わないことも大事だ」と語った。
高市早苗首相はエネルギー補助金を導入し、消費者の負担軽減を図ってきたが、この戦略には負の側面もある。今年初め、高市首相が打ち出した大規模な消費税減税案は日本の国債利回りの上昇を招き、世界的な債券売りの一因となった。
高市政権の拡張的な財政政策が円安の一因ではないかとの見方に対しては、海外のカウンターパートと話す中で「日本の財政政策が心配だと面と向かって言われたことはない」とも述べた。

三村財務官は1989年に東京大学法学部を卒業し、旧大蔵省に入省。金融庁や国際決済銀行(BIS)での職務に加え、財務省では文書課長や国際局長を歴任し、24年7月から現職。
事務次官級ポストの財務官は、財務相や日本銀行総裁と共に主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)など国際会議に出席する主要メンバーで、各国と高度な機密情報をやり取りすることから「通貨マフィア」とも呼ばれる。
今月末で就任から丸2年を迎える三村財務官。今後については「その時その時、置かれた立場でやらなければいけないことをやるだけのことだ」と述べるにとどめた。
(第6、7、11、12段落に三村財務官の発言と背景を追加して更新します)
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