米航空宇宙企業ロケット・ラボは、衛星電話の草分け存在であるイリジウム・コミュニケーションズを現金と株式の組み合わせで買収することに合意した。この買収でロケット・ラボは、市場をリードするスペースXへの対抗を図る。

29日の発表資料によると、この取引でイリジウム株主は1株当たり27ドルの現金に加え、交換比率に準じて算出されるロケット・ラボの普通株を受け取る。イリジウムの企業価値は約80億ドル(約1兆3000億円)と評価された。

今回の買収で、ロケット・ラボのロケット打ち上げ能力と衛星製造事業は、イリジウムの低軌道衛星通信ネットワークと統合される。

発表を受け、ニューヨーク時間29日午前9時50分時点で、イリジウム株は20%余り上昇した。ロケット・ラボ株も約10%上昇している。

ロケット・ラボは2021年8月に株式を公開しており、今回の買収は同社にとって過去最大の買収案件となる。

ロケット・ラボはイリジウム買収について「衛星ネットワークの設計・製造・打ち上げ・運用を手がける垂直統合型の宇宙企業を創出し、全世界の数百万人に及ぶユーザーに欠かせない通信サービスを提供する」ことが目的だと説明した。

同社は先週、米航空宇宙局(NASA)から、来年初め以降に予定される3件の打ち上げを受注した。

イリジウム買収でロケット・ラボは、スマートフォンなどの端末に衛星通信を直接提供する「ダイレクト・トゥ・デバイス(D2D)」市場への足掛かりも得る。

衛星通信を利用したD2Dサービスはここ数年競争が激化しているが、イーロン・マスク氏率いるスターリンクが数千基の衛星から成るネットワークを擁し、市場で圧倒的な優位を築いている。

一方、今年4月にはアマゾン・ドット・コムが116億ドルでグローバルスターを買収する計画を発表し、スターリンクへの対抗を強化。アマゾンの衛星通信事業「Amazon Leo(アマゾンレオ)」は現在、商用顧客を対象にベータ版を試験中で、今年後半には本格的なサービス開始を予定している。

イリジウムはグローバルスター同様、D2D市場への参入を目指す企業にとって極めて価値の高い無線周波数帯を保有している。

原題:Rocket Lab to Buy Iridium for $8 Billion in SpaceX Challenge (1)(抜粋)

--取材協力:Jennifer Igbonoba、Kate Duffy、Bruce Einhorn.

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