(ブルームバーグ):全国の先行指標となる6月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の上昇率は8カ月ぶりに前月から拡大した。市場で広がる日本銀行による年内の追加利上げ観測を支えそうだ。
総務省の26日の発表によると、コアCPIは前年比1.6%上昇となり、市場予想と一致した。前月は1.3%上昇だった。東京都による基本料金無償化の影響がなくなった水道料が前年比横ばい、エネルギーは下落幅が縮小し、いずれも押し上げに寄与した。食料は10カ月連続で伸びが鈍化し、押し下げ要因となった。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.9%上昇となり、4カ月ぶりに伸びが拡大した。市場予想は1.8%上昇だった。総合指数は1.7%上昇と2カ月ぶりに伸びが拡大。市場予想は1.6%上昇だった。
日銀は16日の金融政策決定会合で政策金利を31年ぶりの高水準となる1.0%程度に引き上げた。利上げ継続方針を維持するとともに、基調的な物価上昇率が目標の2%から上振れるリスクに言及した。今回の統計結果は日銀の想定に沿った内容と言える。
明治安田総合研究所の森田幸大主任エコノミストは、6月の結果は政策要因が大きく、基調的物価には影響しないと指摘。7月から値上げラッシュが本格化すると見込まれるほか、原油高の影響も時間差で効いてくるとし、「物価の上振れリスクは引き続き高い状況にある」と述べた。日銀の追加利上げ時期は10月を予想している。
5月の全国コアCPIは1.4%上昇と4カ月連続で2%を下回ったが、日銀では政府のエネルギー負担緩和策などが要因としている。植田和男総裁は24日の全国信用金庫大会のあいさつ文で、今後は原油価格上昇が押し上げに作用し、「2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていく」との見通しを示した。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.1%上昇となり、前月から横ばいだった。今年の春闘の賃上げ率は平均で5%超を維持し、足元まで高水準が続く一方、中東情勢の緊迫化を受けた中小企業の動向や景気への影響に注意が必要だ。
26日朝の外国為替市場の円相場は対ドルで161円台後半で推移。米個人消費支出(PCE)価格指数を受けて米利上げ観測に伴うドル高圧力がやや和らいだ半面、原油価格の反発が円の重しとなり、安値圏での推移が続いている。東京CPIへの反応は限定的。
ブルームバーグが6月会合後の17日に実施した緊急のエコノミスト調査では、次の利上げ時期の予想の最多は12月の52%で、次いで10月が36%となった。9月の2%と合わせ、年内利上げの予想が90%を占めた。今回の利上げ局面での政策金利の最終到達点は中央値が1.75%と、2023年12月調査で質問に設定して以来の最高水準となった。
足元の金利スワップ市場が織り込む日銀による1.25%程度への利上げ確率は9月会合までが約20%、10月会合までが約56% 、12月会合までは約100%以上となっている。
総務省の説明
- 押し上げに最も寄与した水道料は、東京都の基本料金無償化が5月分から指数に反映され、同月にマイナス寄与となった。一方で昨年は6月分から反映されており、今年6月の前年比では横ばいとなった
- エネルギーのプラス寄与は、ガソリンが昨年に政府補助金拡大で5月から6月にかけて押し下げ要因となった反動。電気代と都市ガス代は燃料費調整単価の上昇が要因
- 診療代が診療報酬の改定で、家庭用耐久財が電気洗濯機の新商品への切り替えの影響などでそれぞれプラスに寄与
- 一方、マイナス寄与は通信料(携帯電話)、生鮮食品を除く食料、宿泊料など。通信料は昨年に大手通信会社の新プラン導入で価格が上がった反動
- 生鮮食品を除く食料は、チョコレートが昨年値上げの反動、米類が在庫増などにより下落幅が拡大した
(エコノミストコメントや総務省の説明を追加して更新しました)
--取材協力:氏兼敬子.
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