インド最大のシネマコンプレックス運営会社PVRアイノックスは、地方都市向けの低価格映画館チェーンを立ち上げる計画だ。入場料を300円未満に抑え、これまで十分に開拓されてこなかった市場で新たな顧客層を取り込む。

同社のエグゼクティブディレクター、サンジーブ・クマール・ビジリ氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「スマート・シネマ」と呼ぶ映画館を今後3年間で300カ所開設する計画を明らかにした。東部ビハール州のムザッファルプルや西ベンガル州のバラックポール、北西部ラジャスタン州のハヌマンガルなど、各地の小都市に開設する。施設はフランチャイズ加盟企業が所有し、PVRが運営する。

ビジリ氏は、「次の成長の波はこうした地域から生まれる」とし、「人々には消費意欲があり、より豊かな暮らしへの憧れもある」と指摘。大都市と「同じような施設を自分たちの街にも求めている」と述べた。

今回の事業拡大は、大都市や映画興行への依存を減らし、収益源の多角化を図る同社の取り組みを反映している。

ボリウッドとハリウッドのヒット作が相次ぎ公開される中、PVRは近年で最も好調な興行成績を記録。今年公開された「Dhurandhar: The Revenge(原題)」や「プロジェクト・ヘイル・メアリー」「オデュッセイア」「スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ」の成功を受け、今後もボリウッド大作「ラーマーヤナ」や「デューン 砂の惑星 PART3」などで勢いを維持すると見込んでいる。

同社株は年初来で約14%上昇。インドの主要株価指数であるニフティー50指数を上回るパフォーマンスを見せている。

ビジリ氏によると、地方都市の映画館では入場料を大都市圏の平均料金より約40%安く設定し、最大175ルピー(約290円)とする。ポップコーンやナチョスなど人気商品に絞ったフードメニューも、同様に低価格で提供するという。

同氏は、これらの地域では土地や設備投資、電気料金、人件費も低く抑えられると説明した。

通常の映画スクリーンについても今後3-4年間、年間約150スクリーンの増設を続ける方針を示した。同時に、映画館内でフォトブースやバーチャルリアリティー(VR)ゲームの導入も試験的に進め、集客力向上を図る。

インドの金融サービス企業、モティラル・オスワル・フィナンシャル・サービシズの調査チームは7月26日付リポートで、「ハリウッド作品の興行収入回復と、多言語にわたる有力コンテンツは追い風となる」と指摘。一方、「事業は映画館の座席稼働率に大きく左右されるが、その稼働率は作品の質や安定的な供給に依存しており、同社がコントロールできない要因だ」と分析した。

興行収入の変動に対応するため、同社はスポーツ中継やコンサート配信、TEDトーク、宗教イベント、さらには企業の取締役会の場も提供し、閑散期の稼働率向上を図っている。こうした映画以外のイベントの来場者数は昨年約120万人に達し、ビジリ氏は今年さらに約10%増加すると見込んでいる。

原題:India’s Top Cinema Chain Plans $2-Ticket Halls for Small Towns(抜粋)

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