気温上昇への対応を迫られている英国のロンドンだが、それには多額の資金が必要で、民間投資家の支援を仰がざるを得ないと、同市のカーン市長が窮状を訴えた。

ロンドン市長室は24日発表した声明で、猛暑はもはや「将来の脅威」ではなく、「ロンドン市民にとって現実味を増しつつある問題」だと指摘した。

ロンドンでは猛暑が短期間続くだけで、市の財政に大きな打撃となり得ることが既に明らかになっている。市長室がまとめた報告書によると、ロンドンで史上初めて摂氏40度が観測された2022年の熱波では、15億ポンド(約3200億円)の経済損失が発生した。

市内の約100万戸には室内気温が異常に上昇する高いリスクがあり、中でも危険度の高い住宅の改修費用だけで、90億-450億ポンドかかる見通しだという。

Photographer: Chris J. Ratcliffe/Bloomberg

その費用の大きさを踏まえれば、ロンドン市は今後の暑さ対策に必要なインフラ投資を賄うため、民間投資を呼び込む必要があると、市長室は今回の報告書で論じた。

今週はちょうど、地球温暖化対策を議論するイベントや討論会が行われる「ロンドン気候行動週間」に当たったが、週初から日中最高気温が35度前後に上る日が続き、市内の一部では耐えがたい暑さとなっている。一部の日程は酷暑によりキャンセルされ、皮肉なことに酷暑に関する会議も中止された。

環境保護団体グリーンピースによると、ロンドン中心部の舗道や公共交通機関のプラットフォーム上では55度を超える気温が観測された。

ロンドン市が猛暑対策の包括的な計画を打ち出したのは、今回の報告書が初めて。十分な暑さ対策がなされていない住宅や公共交通機関、オフィス、公共空間が市民にもたらす脅威を詳述し、優先課題として高リスク住宅へのシャッター設置、公共空間での日陰の整備、植樹、水泳施設へのアクセス向上、学校内の温度低減などが挙げられた。

さらに、建物の過熱を防ぐには外部シェードを優先的に検討すべきだとしつつ、「医療・介護施設など脆弱性の高い場所では」、エアコンが必要になると認めた。

ロンドン市長室ではこれまで、エアコン稼働に必要なエネルギーの量が大きく、ヒートアイランド現象を引き起こす恐れがあるとしてエアコンの利用に懐疑的だったが、今年の暑さを目の当たりにして考えを改めざるを得なかったようだ。

ロンドン交通局は暑さのため「公共交通機関利用は必要な場合にのみ限定するよう」呼び掛け(ロンドン・ユーストン駅)

原題:London Faces Huge Financial Cost Tied to Rising Heat, Mayor Says(抜粋)

--取材協力:Frances Schwartzkopff.

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