日本銀行は、世界的なAIブームがもたらす経済的な恩恵をこれまで以上に示唆している。AI関連製品への旺盛な需要が、中東情勢の混乱に伴うエネルギー価格上昇による景気の下押し圧力を和らげる要因になるとみているためだ。

こうした認識の変化は先週の金融政策決定会合でも示された。24日に公表された決定会合における「主な意見」によると、1人の政策委員はAI需要の効果を強調した。

同委員は、「世界的なAI需要拡大によるデマンドショックで海外経済が上振れるもと、原油価格上昇に伴う交易条件悪化は緩和され、景気減速懸念は後退している」との見方を示した。「グローバルなAI関連需要が、想定以上に経済・物価を上押ししている」との意見もあった。

日本は多くの先進国と同様、予想外の追い風を受けており、政策当局者に対する金融引き締め圧力となっている。米国ではデータセンターや半導体、電力インフラ、ソフトウエアへのAI投資が急増しており、金融政策が方向転換する可能性が高まっている。韓国でも、数カ月にわたる輸出の急拡大と成長率見通しの上方修正を受け、利上げに向けた動きが強まりつつある。

日本は先端AI半導体の主要生産国ではないものの、国内企業は世界の半導体サプライチェーンで重要な役割を担っている。特に製造装置や材料分野で存在感を示している。

その影響は統計にも表れてきている。日銀のデータによると、5月の輸出物価指数は契約通貨ベースで前年同月比11.7%上昇と、1979年4月以来の高い伸びとなった。電気・電子機器は23.9%上昇と、比較可能な76年以降で最大の上昇率となった。

日銀の氷見野良三副総裁は先週19日の国会答弁で、AI需要への期待が輸入コスト上昇への懸念を軽減しているとの見方を示した。

氷見野氏は、4月会合では「原油価格の上昇に伴い輸入物価が上昇して交易条件が悪化し、経済に下押し圧力がかかる」と説明したことに言及した。その上で、最近の展開で一番顕著なのは輸出物価の急激な上昇と指摘。AIブームを受けて半導体製造装置やAI関連の輸出の量が増える一方、価格も上がっており、「原油価格の上昇の影響を打ち返すようなところが見られる」と語った。

AI需要を背景とした輸出拡大は投資家心理の支えにもなっている。市場では世界的なAI関連支出の拡大で日本が恩恵を受けるとの見方が広がり、日経平均株価は今週、過去最高値を更新した。

日銀は先週、経済が大きく下振れるリスクはひところよりも低下しているとして、政策金利を1995年以来の高水準へ引き上げた。一方、グローバルなAI関連需要の動向について、「留意が必要」なリスク要因の一つに挙げた。

利上げ翌日にブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、約9割が年内の追加利上げを予想。このうち約3分の1は、10月を見込んでいる。

原題:BOJ Sees AI Export Boom Cushioning Economy From Oil Price Shock(抜粋)

(3段落目に背景情報を追加して更新しました)

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