(ブルームバーグ):日本銀行の田村直樹審議委員は25日、先行きの金融政策運営について、数カ月に一度のペースで0.25%ずつの利上げが必要とした上で、物価上振れリスクが高まれば加速するよう主張した。兵庫県神戸市で講演した。
田村委員は、景気を過熱も抑制もしない中立金利は2%前後の領域にあるとし、その水準に向けて「数カ月に一度のペースで0.25%ずつ利上げしていくことを基本線としてイメージしている」と語った。

その上で、物価上振れリスクが顕在化する確度が高まった場合には、「利上げの頻度や利上げ幅といった利上げのペースをちゅうちょなく加速すること」を通じて物価安定に努めることが、結果的に日本経済の下振れを和らげることにつながるとの見解を示した。
日銀は16日の金融政策決定会合で、政策金利を31年ぶりの水準となる1.0%程度に引き上げることを賛成多数で決めた。利上げ継続方針を維持するとともに、基調的な物価上昇率が2%物価目標から上振れていくリスクにも言及した。利上げに前向きな「タカ派」と位置づけられる田村氏は早期の追加利上げの必要性を訴えた。
田村委員は、日銀が掲げる2%の物価安定目標は「既に実現されたと判断している」との認識を示した。引き続き政策金利が緩和的な領域にある中で、先行きの急激かつ大幅な利上げを避けるためにも、「今のうちから、政策金利を中立金利に近づけておくことが重要だ」と強調した。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストらはリポートで、高田創審議委員と並ぶタカ派との評価に沿った内容としつつ、「連続利上げや具体的な利上げ時期への踏み込みまでは行わなかった」と指摘。7月会合で高田氏が、その次の9月に田村氏が追加利上げを提案、10月に決定されるような経路が意識されるとした。
ブルームバーグが17日に実施した緊急のエコノミスト調査では、次の利上げ時期の予想の最多は12月の52%で、次いで10月が36%となった。9月の2%と合わせ、年内利上げの予想が90%を占めた。今回の利上げ局面での政策金利の最終到達点は中央値が1.75%と、2023年12月調査で質問に設定して以来の最高水準となった。
会見
午後の記者会見では、具体的な利上げペースを問われ、「3カ月なのか4カ月なのかというところまでは、経済・物価の状況や金融環境の確認次第だ」と指摘。物価上振れリスクが顕在化する確度が高まれば利上げ頻度を上げることは当然あり得るとしながらも、「現時点でそれが必要とは考えていない」と述べた。
また、政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブのリスクに関しては、急激な利上げが必要な状況ではないと説明。その上で、後手に回らないように、「政策金利の引き上げを行っていく必要がある」との見解を示した。
足元の金利スワップ市場が織り込む日銀による1.25%への利上げ確率は、9月会合までが約20%、10月会合までは約55%、12月会合までは100%を超えている。
国債買い入れ
今月の会合では国債の買い入れについて、2027年4月以降は月間2兆円程度の購入を行うとし、事実上の減額停止を決めた。田村委員は減額を続けるべきだとして反対票を投じた。
講演では、経済環境が大きく変化した中で、金融緩和とした行った国債買い入れを日銀が続ける必要はないと主張。その上で、国債保有残高について「市場機能の状況を注視しつつ、着実に正常化を進めていくことが重要だ」と語った。

(午後の記者会見での発言やエコノミストコメントを追加して更新しました)
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