想定以上の原油安・実質金利の上昇が株式市場のマネーを逆流させた模様
6月23日の米国株式市場は、原油価格の下落と実質金利の上昇が意識され、AI・半導体関連株が軟調な展開となった。ナスダック指数は前日比▲2.22%と続落し、SOX指数は同▲7.86%と、大幅に下落した。一方、ダウ平均は同▲0.09%にとどまり、下値は堅かった。
この背景にあるのは、①原油価格の下落による米国の内需改善期待と物色の広がりだろう。AI・半導体関連株への一極集中が解消される中で、マネーフローの逆回転が生じている可能性が高い。5月下旬から6月上旬にかけて原油価格(WTI原油先物価格ベース)が90~100ドルから80~90ドルにレンジを切り下げた際には、このような動きは限定的だったが、これは想定されていた調整幅だったということだろう。足元では70~80ドルとさらに低下しているが、これは想定よりも低い価格であり、株式市場への影響が出てきたとみられる。
また、②実質金利の上昇も続いている。10年実質金利は2.28%となり、25年1月以来の高水準である。後述するように、インフレ予想が低下していることを踏まえると、FRBのタカ派懸念は今がピークと言えそうだが、タカ派的だったFOMCの余波が続いている。株式市場では金利上昇懸念が意識されやすい。
もっとも、①AI・半導体関連株への一極集中の修正、②金利上昇懸念という2つの要因が株価を大きく調整させることはないだろうと、筆者はみてきた。しばらくはマネーフローの逆回転が続く可能性があるが、AI・半導体関連株や株式市場から資金が流出したとしても、そのマネーの行き場が不足していることが重要である。実質金利が上昇しているように、債券市場は依然として不安定であり、資金の逃げ場にはなりにくい。比較的早い段階で、キャッシュ化された資金がAI・半導体関連株に向かう動きが出てくるだろう。引き続き、株式市場が大きく調整するきっかけは、金利上昇ではなく、債券が大きく買い戻されるような景気悪化懸念(ディスインフレ懸念)になるだろうと、筆者は予想している。
実質金利の上昇によってBEIが低下
6月23日の米国債券市場は、実質金利の上昇とインフレ予想(BEI)の低下の綱引きが続き、名目金利は小動きであった。長期金利は前日差▲1.2bp、2年金利は同▲2.7bpとなった。10年実質金利は前日差+1.9bp、10年BEIは同▲3.1bpだった。実質金利はFRBのタカ派化懸念によって上昇している模様であり、FF金利先物市場では6月15-16日のFOMC以降は26年中に1.5回以上の利上げが織り込まれている(この日は約1.53回)。もっとも、10年BEIの低下が続いており、25年4月以来の低水準である(この日は約2.21%)。インフレ予想をアンカーするという観点からは、もはや利上げを実施する必要はない状況になってきた。