ニューヨーク時間18日の外国為替市場で、円が対ドルで下げ幅を拡大し、1ドル=161円台後半まで売られた。ただ、介入警戒感も根強い中、取引終盤には一気に160円台に下げを縮小する場面があるなど、荒い値動きとなった。

前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を受けたドル買いの動きが続いている。FOMCが早ければ7月にも利上げに踏み切るとの観測が浮上している。

円は一時0.7%安の1ドル=161円81銭を付け、ほぼ2年ぶりの安値圏で推移した。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.4%近く上昇。ドル指数は2営業日の上げとしては、約3カ月ぶりの大きさとなった。

ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は前日、物価安定の回復に取り組む考えを表明した。FOMCでは金利据え置き決定のほか、利上げ支持が広がりつつあることが示された。

MUFGのストラテジスト、リー・ハードマン氏は「FRBのタカ派的な政策判断を受けて、ドルの上昇基調が一段と強まる可能性がある。米国とイランの和平合意によるドル下押し圧力を上回っている」と指摘した。

金利先物市場では、9月のFOMCで0.25ポイントの利上げが実施されるとの見方が織り込まれ始めたほか、早ければ7月会合での利上げの可能性も意識されている。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)の為替ストラテジスト、アレックス・コーエン氏は前日のFOMC会合について、「明確にタカ派的だった。従って、ドルにとって疑いなくプラスだ」と述べた。

ニューバーガーのシニアポートフォリオマネジャー、ウーゴ・ランチオーニ氏は、ドルは割高なため、中期的にはドル弱気の見方を維持しているとしつつ、「米経済指標の強さやエネルギーショックに伴うインフレ圧力、人工知能(AI)への投資サイクルが引き続きドルを支えている」と話した。

米国みずほ証券のデリバティブトレーダー、佐野繁男氏は、FOMCを受けて米国の短期金利は大きく上昇したが、日本の短期金利は上昇が限定的なままだとし、金利市場のこうした動向は、当面のドル高・円安方向を示していると指摘した。

また、ウォーシュFRB議長の下で「フォワードガイダンスやドットプロットなどに見直しが入れば、ボラティリティーが高まり、米短期金利が上昇する可能性がある。これはドル高を後押しする新たな材料だ」と述べた。

FRBのタカ派姿勢を受けて円安が進み、日本の財務省が過去に為替介入に踏み切った水準まで下落したことから、市場では円買い介入への警戒感が高まっているとの指摘が出ている。

株式

米株式相場は反発。米国とイランの間で暫定和平合意がまとまったことを受け、ホルムズ海峡が再開し、インフレリスクが後退するとの楽観が強まった。

S&P500種株価指数は一時1.2%高。フィラデルフィア半導体株指数は6.4%高で最高値を更新した。一時は7.3%上げた。インテルは急伸。同社とアップルが米国産半導体の設計と生産で協力するとのトランプ米大統領発言が材料視された。

米国とイランの暫定和平合意が発効し、米国が海上封鎖の終了を宣言したことを受けて、ホルムズ海峡では船舶の航行が再開し始めた。一方で、イランの核開発計画を巡る複雑な交渉が本格的に始まった。

ホルムズ海峡を通過できずにいた原油の輸送が徐々に再開される中、クウェートは増産を開始したことを明らかにした。和平合意を受けて中東のエネルギー取引は活発化しており、原油輸送量は既に戦争前の水準に向けて回復しつつある。

バンス米副大統領はホワイトハウスで記者団に対し、イランが将来的にホルムズ海峡の通航料を徴収するとの懸念について、それほど大きくないとの認識を示した。合意が維持されれば、エネルギー価格やインフレ圧力の大幅な緩和につながる可能性があると市場関係者はみている。

ルネサンス・マクロ・リサーチの経済調査責任者、ニール・ダッタ氏は「FRBがタカ派色を強めたため、ディフェンシブな姿勢を取らざるを得なくなった」と指摘。「ウォーシュ氏の関心がFRBのコミュニケーションやバランスシート、既存データの活用と依存、生産性や雇用、インフレの枠組みに向かうのであれば、FRB内の力学はタカ派に傾く」と述べた。

ジェイ・バリー氏率いるJPモルガンのストラテジストは、「市場は何も得られないが、それを受け入れざるを得ないだろう」とリポートに記した。

フォレックス・ドット・コムのファワド・ラザクザダ氏は、エネルギーコストの低下がインフレ指標に反映され続ければ、FRBは利上げではなく金利据え置きを長期間維持する十分な根拠を得るかもしれないと指摘した。

その上で「インフレは今後数カ月にわたり緩やかに鈍化するというのが私の見解だ。その場合、FRBは新たな利上げではなく、現在の政策スタンスを維持できる可能性がある」と語った。

国債

米国債は上昇。10年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。

BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏は「エネルギーコストの低下で先行きのインフレ懸念も和らいでおり、米国債利回りが低下している」と述べた。

ベテラン市場ストラテジストのエド・ヤルデニ氏は、FRBがインフレ率を2%の目標水準へ引き下げることに本気で取り組むのであれば、利上げに踏み切る可能性があるとの考えを示した。「利上げをせずに、どうやってそれを実現するのか。市場はようやく正しく認識し始めたと思う」と述べた。

ヤルデニ氏はガソリン価格が下落していることも挙げ、総合インフレ率の大幅な低下につながる可能性があると指摘。仮に利上げが実施されたとしても、0.25ポイントまたは0.50ポイントの引き上げは大きな問題にはならないとし、そうした利上げが行われれば、債券相場はむしろ上昇する可能性があるとの見方を示した。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのケイ・ヘイグ氏は、前日のウォーシュFRB議長の発言を受けて、米国債市場では短期ゾーンのボラティリティーが一段と高まる一方、長期ゾーンの値動きは落ち着く可能性が高いと話した。

「今後は2年債のボラティリティーが大幅に高まるだろう」とヘイグ氏は指摘。一方、経済予測から政策運営まで幅広い分野を検証する5つの作業部会の設置により、インフレ率をFRBの2%目標に引き下げるとのウォーシュ氏の明確な姿勢や新たなコミュニケーション手法の実効性が高まる可能性があると分析した。

その上で「長期ゾーンのボラティリティー低下につながる可能性は十分にある。そうなれば、投資家にとって長期債がより魅力的な投資対象になるだろう」と語った。

原油

米原油先物は反落。米イラン暫定合意の正式署名を受けて、ホルムズ海峡の通航量が増えつつあることが重しとなった。

今回の合意に伴い、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、イラクといった主要産油国では、停止していた数百万バレル規模の原油生産が再開する見通しだ。

前例のない供給混乱は当初、主要燃料価格を過去最高水準へ押し上げていた。アジアの製油所が既に十分な供給を確保している中、原油輸送の急増は価格のさらなる下押し圧力となる可能性がある。原油価格は4月に付けた4カ月ぶり高値から約38%下落している。

BOKフィナンシャル・セキュリティーズのエネルギー取引責任者、デニス・キスラー氏は、「覚書の締結は難関だった」と指摘。「中東からの供給回復が大半のアナリストの想定よりも速いペースで進むとの見方を市場は織り込み始めているようだ」と述べた。

イランのペゼシュキアン大統領は18日、合意文書の写しをソーシャルメディアに投稿した。イラン学生通信(ISNA)は、南部港湾における商船の往来は15日以降、通常状態に戻っていると伝えた。

米中央軍は同日、イランの港湾および沿岸海域への船舶の出入りを巡る海上封鎖を解除したと発表した。

ホルムズ海峡の通航には改善の兆しが出ている。船舶追跡データによると、 日本向けの超大型原油タンカー(VLCC)が、ホルムズ海峡を通過したことが分かった。このほか3隻のVLCCなどがすでに海峡の外へ出たか通過中で、合計約1000万バレルの原油を運んでいる。

カタール産液化天然ガス(LNG)を積載した船舶や中国の燃料タンカーも航行した。また、イランのタンカー4隻に加え、イランと関係のある船舶2隻も海峡を通過したことが確認された。

ただ、戦争前の状態に戻ることが確実なわけではない。

ゴールドマン・サックス・グループは、ペルシャ湾からの石油輸出が正常化する時期について、従来の8月末から7月末に予想を前倒しした。ただ、生産国が代替輸送ルートを活用していることを踏まえ、ホルムズ海峡を通過する石油の輸送量はイラン戦争前の水準の約7割までしか回復しない可能性があるとリポートで指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は、前日比19セント(0.25%)安の1バレル=76.60ドルで終了。ただ、時間外取引ではプラスに転じる場面もあった。一方、北海ブレント先物8月限は30セント(0.4%)上昇して79.85ドルで取引を終えた。

金スポット価格は続落。FRBのタカ派シフトで利上げ観測が強まっていることが重しとなった。利息を生まない金にとって、高金利環境は逆風となる。

米国とイランが暫定和平案に正式に署名したことを受けて米原油相場は下落。ホルムズ海峡が再開され、高金利の長期化を招くインフレリスクが和らぐとの見方が背景にある。

だが、燃料価格がどの程度のペースで下がるのか、またホルムズ海峡の通航量が戦争前の水準にいつ戻るかを巡っては、なお不透明感が残っている。

TDセキュリティーズのシニア商品ストラテジスト、ライアン・マッケイ氏によると、金をはじめとする貴金属市場では、米国とイランの暫定合意署名による安心感よりも、FRBのタカ派傾斜や年内の利上げ観測の方が大きな影響を与えている。金については「再び売り越し基調に転じる可能性が高い」という。

スポット価格はニューヨーク時間午後1時54分現在、前日比24.41ドル安の1オンス=4232.52ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は、135.50ドル(3.1%)安の4245.90ドルで引けた。

欧州

18日の欧州株式市場は、指標のストックス欧州600指数が6営業日ぶりに反落。原油安に連動してエネルギー株が下落し、指数を押し下げた。

指数は0.3%安で取引を終えた。シェルやBP、トタルエナジーズなどエネルギー大手は軒並み2.5%を超える下げ。米国とイランの暫定和平合意を受け、北海ブレント原油は1バレル=78ドルを下回った。

債券は英国債が下げを縮小する展開。イングランド銀行(英中央銀行)は金利を据え置き、原油価格の最近の下落に「心強い」との認識を示したが、金融政策委員会(MPC)メンバーの2人は0.25ポイントの利上げを支持した。

英2年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.18%。一時は8bp上昇して4.22%となっていた。

短期金融市場が織り込む年内の英中銀利上げ幅は31bpと、政策発表前の35bpから縮小した。

6月18日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Stocks Climb as US-Iran Deal Eases Inflation Angst: Markets Wrap(抜粋)

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(欧州部分で利下げを利上げに訂正します)

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