(ブルームバーグ):米司法省は、イラン最高指導者のモジタバ・ハメネイ師がウォール街の金融機関と接点を持つ世界規模の投資ネットワークをどう構築したのか調査を進めている。この件について事情を直接知る当局者4人が明らかにした。
この調査はマネーロンダリング(資金洗浄)や汚職の疑いに関する広範な調査の一環。モジタバ師の監督下にある企業間の多額の資金移動をめぐり、JPモルガン・チェースやシティグループ含む米金融機関が仲介に関与した可能性を調べ始めたと、当局者3人が述べた。
司法省の調査では、米国のコルレス銀行(中継銀行)の役割も含め、こうした取引の実態を精査している。当局者はいずれも、公に発言する権限がないことを理由に匿名を条件とした。当局は、モジタバ師のネットワークの実態解明を進めるとともに、こうした資金の流れを容認し得た米金融機関の審査手続きに潜在的な不備がなかったかを調べているという。
調査が必ずしも訴追につながるとは限らない。主な対象は今年3月に最高指導者に就任したモジタバ師だ。
当局者3人によれば、欧州と中東の金融機関も調査対象となっている。また、当局者の1人は司法省がモジタバ師のネットワークによるヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスといった世界的企業への不動産関連の支払いについても調べている。
JPモルガンとシティ、司法省はいずれもコメントを控えた。アラブ首長国連邦(UAE)と英国のイラン大使館、および国連のイラン代表部を通じてモジタバ師にメッセージを送ったが、返答はなかった。
ブルームバーグ・ニュースは今年1月、モジタバ師がペルシャ湾の海運事業からスイスの銀行口座、英国の高級不動産に至るまで幅広いビジネス帝国を築いていた実態を報じた。取引資金は英国、スイス、リヒテンシュタイン、UAEの金融機関を経由していた。モジタバ師は2019年に米国の制裁対象となった。
ブルームバーグの報道によると、モジタバ師は最高指導者に就任する以前、イラン人実業家アリ・アンサリ氏に大きく依存していた。同氏が手掛ける銀行、建設、貿易事業は近年、資金を国外へ移転する経路として機能していた。その後、アンサリ氏が運営するものを中心とするペーパーカンパニーのネットワークを通じて、モジタバ師側は欧州各地の高級住宅や5つ星ホテルが取得された。その中には現在ヒルトンが運営するホテルも含まれている。
ブルームバーグの報道を受け、ヒルトンは社内調査を開始し、ドイツ国内2つのヒルトン系列ホテルに関連する取引関係を維持することが制裁リスクにつながる可能性がないかを検証した。米当局者2人と、ヒルトンの検討内容を直接知る別の関係者によると、外部アドバイザーは、こうした取引関係を維持した場合、規制面や評判リスクが生じる恐れがあると警告した。
ヒルトンはこの記事に関するコメントを控えた。
原題:US Banks Face Scrutiny in DOJ Probe of Iran Leader’s Money Flows
(抜粋)
--取材協力:Ava Benny-Morrison、Todd Gillespie、Chris Strohm、Patrick Clark.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.