米スペースXを対象とするレバレッジ型上場投資信託(ETF)が、取引初日に10億ドル(約1600億円)超の売買高を記録した。投資家が史上最大の新規株式公開(IPO)への賭けを増幅させようと殺到したためで、スペースXへの個人投資家の異例な熱気を浮き彫りにした。

ブルームバーグが集計したデータによると、スペースX株に連動するレバレッジ型とインバース型ETF十数本が15日に取引を開始した。個別株レバレッジ型ETFとしては、記録的に活発な初日取引となった。資産残高や資金フローはまだ明らかでないが、売買高だけでも突出した需要が示されている。

スペースX株の上昇が止まらない中、同社株の下落に賭けるインバース(ベア)型ファンドは直ちに打撃を受けた。同社株の日次変動率とは逆方向に2倍の投資成果を目指す少なくとも4本のETFは15日、同社株の急騰を受け、それぞれ20%前後下落した。一方、さらなる上昇に賭けるレバレッジ(ブル)型ファンドは16日、同社株が3日続伸する中、一時34%上昇した。

これらETFの登場は、イーロン・マスク氏率いるスペースXへの個人投資家の熱狂に対応してウォール街がどれほど迅速に商品を組成できたかを示している。史上最大のIPOから数日で既に、投資家はレバレッジ型やインバース型を含む多数のファンドを選択できるようになった。

こうした需要は、話題株に個人投資家の資金が集中する近年の取引傾向を映している。バンダ・リサーチによると、スペースXは個人投資家の注目を急速に集め、市場の関心をほぼ独占するほどだった。

ストラテガス・セキュリティーズのETF戦略責任者、トッド・ソーン氏は「一連のETF全体で10億ドルの売買高は非常に大きく、スペースXの人気の広がりと熱狂を示している」と述べた。

今週取引を開始したファンドの中では、「レバレッジ・シェアーズ2XロングSPCXデイリーETF(ティッカー:SPCH)」が一部市場関係者の注目を集めた。手数料が75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、スペースXの個別株レバレッジ型ETFの中では低い部類に入るためだ。同ファンドの初日の売買高が2億8000万ドルを超えた点について、ソーン氏は「個別株レバレッジ型ETFの分野では記録的な水準である可能性が高く、ETF全般として見ても極めて目覚ましい。誰もがこのIPOに何らかの形で関わりたがっている」と述べた。

スペースX株は16日に一時17%高となり、アマゾン・ドット・コムを抜いて時価総額で世界5位に浮上。一時はマイクロソフトも上回り、世界4位となる場面もあった。終値では4.8%高となり、時価総額は約2兆6500億ドルとなった。

レバレッジ商品が急増

また、今回の動きは、個人投資家の取引エコシステムがどのように進化したかを示している。大型注目株はもはや、株式そのものの買い手を引き付けるだけではない。数日以内に、レバレッジ型ETFやオプション、暗号資産デリバティブなどの金融商品が次々と生まれ、投資家は原資産の値動きを増幅させたり、逆方向に賭けたりできるようになる。

レバレッジ商品は近年急増している。発行体はさまざまな資産を対象に、原資産の2倍の値動きをする米上場商品を提供してきた。これに伴い、個人投資家にとって有益さより弊害の方が大きいのではないかとの議論が、改めて広がっている。資産運用会社は、高リスク・高リターン商品への投資家需要に応えているだけだと説明する。一方、批判派は、多くの一般投資家がこうしたリターン増幅型ファンドに伴う細則やリスクを見落とす恐れがあると警告している。

ウォーラックベス・キャピタルのETF担当マネジングディレクター、モヒト・バジャジ氏は「スペースXへの期待は、単なる熱狂だけではなかった」と指摘。「投資家は今、スペースX株の上昇に乗ろうと、レバレッジ型ETFに殺到している」と述べた。

原題:A Billion Dollars of Leveraged SpaceX Bets Hit ETFs in One Day(抜粋)

--取材協力:Sam Potter、Matt Turner.

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