想定以上の原油価格の下落で、AI・半導体への一極集中が反転

6月16日の米国株式市場は、原油価格の下落を背景に景気敏感株や消費関連株が好調だった。ダウ平均は前日比+0.64%と、4日続伸。もっとも、物色の広がりがAI・半導体関連株への一極集中の流れを変えた模様で、ナスダック指数は同▲1.15%、SOX指数は同▲5.71%となった。景気の先行き不透明感が消去法的なAI・半導体関連株への一極集中を促してきた面があるため、イラン情勢の改善が、かえって株式市場を不安定化させる可能性が指摘されてきたが、このような動きが実現した格好である。投資資金は依然として偏った状態にあるとみられ、株式市場は不安定な状態が続きそうである。もっとも、原油価格が下落することは米国の内需にとってはポジティブな影響を及ぼすだろう。物色が広がれば、株式市場全体が強化されることにもつながる。結果的に、AI・半導体関連株の調整は大きなものとはならないだろうと、筆者はみている。

他方、米景気の楽観論が強くなれば、ホームメイドのインフレ懸念につながる可能性には注意が必要である。原油高という外生的なインフレ圧力は弱くなっていくことが予想されるが、株高によって景気が過熱する可能性が意識されれば、利上げ観測が続き、金利が高止まりする可能性がある。今後は、イラン情勢の悪化と原油高、ならびに同時に生じた株高がマクロ経済にどのような影響を与えたのか、経済指標を確認していく展開になるだろう。

インフレ予想の低下によって長期金利が低下

6月16日の米国債券市場は、原油価格が下落する中で、金利が低下した。長期金利は前日差▲3.4bp、2年金利は同▲1.5bpとなった。このところ、米長期金利は①インフレ懸念の沈静化という金利低下要因と、②景気楽観論の台頭という金利上限要因が同時に意識されることで、上下にやや動きにくい展開となっていた。しかし、この日は原油価格がまとまった幅で下落したことから、インフレ予想(BEI)主導で長期金利は低下した。長期金利の動きを分解すると、実質金利が前日差▲0.3bp、BEIが同▲3.2bpと太宗を占めた。

長期のインフレ予想が低下すればFRBが利上げを実施する必要性は低下する。そのため、実質金利にも低下圧力がかかるだろう。しかし、景気楽観論が強ければ、利下げを実施する必要性は高まらない。長期金利が本格的に下落トレンド入りするためには、インフレや雇用の明確な下振れが意識されるかどうかが重要である。債券市場でも、今後の経済指標を確認していく展開が予想される。