(ブルームバーグ):JPモルガン・チェースでEMEA(欧州・中東・アフリカ)担当チーフ・マーケット・ストラテジストを務めるカレン・ワード氏は、米国とイランの合意が進展すれば、凍結資産の解除や供給増加を通じて、原油価格は今後数週間で1バレル=70ドルまで下落する可能性があると述べた。
ワード氏によると、原油の供給増加の要因はイランだけではない。石油輸出国機構(OPEC)の結束力が弱まり、湾岸諸国が現在の価格水準で埋蔵資源の収益化を急ぐ可能性があるためだという。
ワード氏は、こうした原油価格の急落が、イラン戦争によって突然中断された株高の裾野の拡大を再び促し、株式市場にとって強力な追い風になる可能性があるとの見方を示した。こうした動きは、中銀による利下げを促す可能性もある。欧州中央銀行(ECB)は先週、インフレ圧力への対応として25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを実施したばかりだ。
ブルームバーグテレビジョンで、ワード氏は「昨年見られた業種間や地域間のローテーションは、2月27日に止まった」と述べ、「市場がイラン戦争をすでに織り込み済みという考えは誤りだ。実際には、市場のストーリーは完全に変わってしまった。そのため、今はその巻き戻しが起きており、ローテーションと相場の裾野の拡大が進んでいる」と指摘した。
19日に正式署名される予定の米イラン間の合意について、ワード氏は、双方が合意を順守する動機を持つような仕組みになっているとの見方を示した。
ホルムズ海峡を通過する原油の最大の購入国である中国の経済の低迷を踏まえると、同国がイランによる海峡閉鎖の長期化を容認しないとみられるため、合意は維持されるとワード氏は予想している。また、イラン産原油が闇市場から公式の流通経路へ移行すれば、原油価格の下落がさらに加速する可能性があるとも指摘した。
北海ブレント原油先物は15日、一時5%下落して1バレル=83ドルを下回った。それでも、一部のトレーダーやアナリストは慎重な見方を示している。合意の詳細が不明なことに加え、海運業界がホルムズ海峡の通航を正常化するまでにはなお課題が残るためだ。
ワード氏は、欧州株は割安だとの考えを示した。欧州連合(EU)域内で、規制強化や政府による抑制的な政策が続いた後、成長重視へと政策姿勢が変化したためだ。
同氏は「全体としては楽観的な市場環境の中で、依然として悲観論が最も織り込まれているのは欧州だ」と述べた。
原題:JPMorgan’s Ward Says Oil Could Become a Huge Tailwind for Stocks(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.