韓国株式市場がMSCIの先進国市場入りに近づきつつある。ここ数年で特にボラティリティーの高い数週間を経て、長年追い求めてきた節目が視野に入ってきた。

韓国総合株価指数(KOSPI)は今年、90%余り上昇し、世界の主要株価指数の中で最高のパフォーマンスを記録している。人工知能(AI)関連の有力銘柄に投資家が殺到したためだ。ただ、この上昇によって韓国は世界で最もボラティリティーの高い株式市場の一つにもなった。KOSPIはここ数日、取引所の市場安定措置が繰り返し発動される展開となった。値動きの荒さは主要な世界株価指数ではまれな水準に達している。

投資家は現在、MSCIが6月23日に実施する年次の市場分類見直しを待っている。韓国が先進国市場入りに向けたウオッチリストにようやく加えられるかどうかが判断される。実現すれば、最終的な昇格に向けた最初の一歩となる。

ブルームバーグが取材した投資家とストラテジスト15人の大半は、MSCIが当面、韓国を新興国市場に据え置くと予想する。最近の改革が定着しているかどうかを見極めるには、さらに時間が必要だとの理由だ。ただ、方向性を疑う向きは少ない。

ピクテ・アセット・マネジメントのシニア投資マネジャー、イ・ヨンジェ氏は「時間の問題という側面が強い」と指摘。「韓国は少なくとも今後数年で先進国市場になる。これが私の基本シナリオだ」と述べた。

むしろ問われるのは、先進国市場入りが今なおどれほど重要なのかという点だろう。

韓国市場は、世界的なAI関連取引を代表する市場としての存在感を強めている。サムスン電子とSKハイニックスはKOSPIの構成比の半分超を占める。投資家が半導体ブームへのエクスポージャーを追う中、AI・半導体関連の追い風は、先進国市場か新興国市場かという分類を超えて韓国株を押し上げているとの見方もある。

コーズウェイ・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アルジュン・ジャヤラマン氏は「韓国は今やグローバルな投資対象であり、その意味では分類は重要ではない」と述べた。「韓国に投資しているというより、AI関連銘柄に投資しているという話だ」と語った。

従来の大半の尺度で見れば、韓国は既に先進国市場と見なせる。同国の株式市場は過去1年で時価総額が3倍近くとなり、約4兆4000億ドル(約704兆円)に達した。一時はインドを抜き、世界6位の規模となった。韓国企業は世界の半導体、電池、製造業のサプライチェーンで重要な位置を占めている。

野村ホールディングスのアジア株式ストラテジスト、チェタン・セス氏(シンガポール在勤)は、韓国のような巨大市場の分類変更は「前例がない」と指摘。「既存指数で韓国ほど大きなウエートを持つ国が、近年、一つの市場分類から別の分類に移った例はない」と述べた。

韓国は現在、MSCI新興国市場指数で23%のウエートを占める。これに対し、直近で先進国市場に昇格したギリシャとイスラエルは、昇格時の経済規模も指数ウエートもはるかに小さかった。

長年の障害は、海外投資家にとっての市場アクセスの悪さだ。

MSCIは2014年、為替取引の制限やその他の市場アクセス問題を理由に、韓国を先進国市場のウオッチリストから外した。昨年も同社は、外国為替改革の不備やコンプライアンス負担を指摘した。

その後、韓国は空売り禁止措置を解除し、7月にはウォン取引時間の延長を開始する準備を進めている。いずれも世界の投資家が長く求めてきた改革だ。李在明大統領も資本市場改革を主要政策課題に掲げている。

テンプルトン・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、イーピン・リャオ氏は「先進国市場指数への組み入れの可能性は確実に高まっている。韓国政権が新興国市場から先進国市場への移行を政策として推進しているためだ」と述べた。

MSCIで昇格すれば、実質的な恩恵がある。BNPパリバ証券は、指数連動型ファンドによるポートフォリオの組み替えにより、約300億ドルの資金流入を呼び込む可能性があると試算する。韓国株と先進国市場の同業銘柄との間に長く存在してきたバリュエーション格差、いわゆるコリア・ディスカウントの縮小にもつながり得る。

BNPのマルチアセット投資責任者、ウェイ・リー氏は「韓国株の位置付けは『高成長の新興国市場銘柄』から、『戦略的サプライチェーンを支える先進国市場の中核的存在』へと変わる」と述べた。

投資家層の拡大は、足元でボラティリティーが高まる韓国市場にとって歓迎材料となる。韓国では今年、海外投資家による資金流出額が既に780億ドル超と過去最高に達した。主因はサムスン電子とSKハイニックスの急騰だ。ファンドは個別銘柄の配分上限に達したため、売却を迫られた。

ソウルの資産運用会社であるNHアムンディ・アセット・マネジメントの株式投資責任者、パク・ジンホ氏によると、韓国が先進国市場の仲間入りをすれば、こうした上限は引き上げられる可能性がある。

同じくらい重要なのは、投資家心理の変化が市場の落ち着きを取り戻す助けにもなる点だ。アバディーン・インベストメンツのアジア株式投資ディレクター、キーロン・プーン氏によると、先進国市場の投資家は投資期間が長く、短期的な成長よりも企業の持続可能性、ガバナンス、株主還元を重視する。

プーン氏は「そのため、分類変更は韓国のガバナンス基準を改善し、時間の経過とともに市場のボラティリティーを抑制する可能性がある」と述べた。

原題:South Korea’s World-Beating Stock Market Eyes Its MSCI Moment(抜粋)

--取材協力:Bernadette Toh、Hooyeon Kim.

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