日銀は市場の不確実性と次回の利上げを意識して、「戦略的ハト派」か

今回の米国とイランの合意を受け、日銀は「慎重」なコミュニケーションにシフトするだろう。利上げが確実視されている6月15日の決定会合後の内田副総裁の会見では、近いタイミングの追加利上げを示唆することはなく、物価目標達成の確実性を見極めるというこれまでと同様の姿勢が示されると、筆者は予想している。

これは、(1)米国とイランの合意を受け、市場がどのような方向に向かっていくか不透明であること、(2)タカ派姿勢を強めすぎて、次回の利上げのハードルを上げることを避けたいとみられること、が背景である。

特に、(1)合意後の市場は読みにくい。原油価格の下落が先行すれば、インフレ高進のリスクが低下することになるが、世界的に楽観的な見方が広がることで円キャリートレードの増加を通じた円安圧力がインフレ懸念を強める可能性もある。今回は、これまでの原油高や円安進行といった過去の結果を背景に利上げを決めたと説明される公算だが、先行きについてはあまり言及しないだろう。また、今後も利上げを実施していく場合、「植田ショック」と呼ばれた24年7月利上げ後のような円高・株安の展開は避けたいだろう。

淡々と決定の背景を説明することの多い植田総裁と比較し、上記のような背景から、内田副総裁による会見は戦略的な観点からハト派的な結果になる可能性が高い。

(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)