(ブルームバーグ):これまでの大型新規株式公開(IPO)を振り返ると、上場後1年間は株価が低迷するケースが多かった。しかし、今後上場が見込まれるスペースX、アンソロピック、OpenAIは規模が非常に大きく、市場おけるシステム上の重要性が極めて高いため、過去の事例は当てはまらないかもしれない。
そのため投資家にとってはタイミングを巡り重要な問題が浮上している。今後予定される巨大テック企業のIPOで、株式を購入する最適な時期はいつかという点だ。
フランクリン・テンプルトン・インベストメント・ソリューションズのシニアバイスプレジデント、マックス・ゴクマン氏は、「これらの超大型IPOは主要指数に占める構成比率と個人投資家の関心の両面で、急速に存在感を高めるだろう」と述べた。
トゥルイスト・ウェルスが過去15年間の主要テック企業30社のIPOを分析したところ、上場後1年間の最大下落率は平均55%だった。上場から6カ月時点の将来リターンもマイナスに偏る傾向がみられたという。

株価低迷の背景には、流通株の少なさや、初期投資家のロックアップ(株式売却制限期間)解除に伴う売り圧力など、多数の要因が考えられる。ただ、今回上場が見込まれる企業は通常の大型IPOとは性質が異なる。
イーロン・マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースXは、企業価値およそ1兆8000億ドル(約290兆円)で、史上最大となる750億ドル規模の資金調達を目指している。アンソロピックの企業価値は非公開の資金調達ラウンドで9650億ドル、OpenAIも独自の資金調達に基づき8520億ドルと評価されている。
上記3件の超大型IPOはいずれも、上場時の時価総額が1兆ドルを超えるか、それに極めて近い水準になると見込まれている。S&P500種株価指数の構成企業で時価総額が1兆ドルを超える企業は現時点で11社しかない。
ノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルス・マネジメントの株式担当チーフポートフォリオマネジャー、マット・スタッキー氏は、「IPOに関して個人顧客やアドバイザーから、スペースXほど多く質問を受けたケースはこれまでなかった」と指摘。「興味深いことだが、同時にリスク管理の観点からは少し懸念もある」と語った。
今回の超大型IPO案件は、相場のけん引役でありリスク要因でもある人工知能(AI)への関心が極度に高まっている状況で実施される。アルファベット、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどテック大手が表明している巨額の設備投資計画は、半導体、エネルギー供給、建設など、一見すると関連性の薄い多くの業種で売上高や株価を押し上げてきた。
スペースX、アンソロピック、OpenAIはいずれもAI関連分野でリーダー格とみなされており、今後数年間でその地位をさらに強固なものにすると予想されている。しかし、IPO直後に株式を購入することが最善の投資手法とは限らない。
スタッキー氏は、「グーグルやフェイスブックのIPO時に株式を購入しなくても、長期的には十分に利益を得ることができた」とし、「上場初日に買わなかったからといって、6カ月後や1年後に購入した場合に妙味の大きい投資にならないというわけではない」と述べた。

大型IPOが短期間に相次いで登場する状況は、1990年代後半のITバブルを彷彿(ほうふつ)とさせる。当時はVAリナックス・システムズ、アスク・ジーブス、ウェブバン・グループといった注目企業が相次いで株式市場に上場。投資家はインターネット関連銘柄なら何でも買い求めていた。
その後、多くの銘柄でロックアップ期間の期限が切れ、内部関係者による売却が始まると、新たに市場へ流入した大量の株式によって需給バランスが変化した、とTSロンバードは分析している。
こうした中、バブル崩壊のサイクルが再び繰り返されるのではとの懸念が出ている。
前述のゴクマン氏は「ロックアップ期間が終了し、従業員やベンチャー投資家が巨額の利益を実現できるようになると、さらなる売り圧力によって、既に脆弱(ぜいじゃく)な市場環境が揺らぐ恐れがある」と指摘。一方で「その前には、大きな調整局面に先行することが多い、相場の急騰が起こるかもしれない」と述べた。
原題:SpaceX, Anthropic, OpenAI Can Rewrite History for Megacap IPOs(抜粋)
--取材協力:Natalia Kniazhevich、Subrat Patnaik、David Watkins、Neil Campling.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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