(ブルームバーグ):イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXの株式に対し、インデックスファンドから今後数十億ドル規模の買い需要が生じる見通しで、それが株価をさらに押し上げる連鎖につながる可能性がある。研究者や市場関係者がこう警告した。
ナスダック、FTSEラッセル、MSCIの3社はいずれも、スペースXを自社指数に早期採用する方針だ。ナスダックとFTSEラッセルは規則を変更し、早期採用を可能にした。
指数リバランス予測を手がけるイントロピックによると、スペースX株の浮動株の約3割が、上場後わずか15営業日でパッシブ運用投資家の保有となる見込みだ。従来の採用ルールであれば、この割合は約4%にとどまった計算だ。
ファンド間の買い付け競争が始まる前でも、こうした機械的な買い需要への期待だけで株価に上昇圧力がかかる見通しだ。マスク氏やスペースX、人工知能(AI)を巡るこれまでの熱狂と相まって、指数連動型ファンド自体の買い需要が結果的に自ら支払う株価を押し上げる構図になりかねない。

スペースXの上場は史上最大規模となる見通しだが、パッシブ投資が市場に及ぼす影響力を測る重要な試金石にもなりそうだ。
パッシブ投資の影響を研究するハーバード・ビジネス・スクールのマルコ・サモン准教授は「指数算出会社がスペースXの採用を急ぐ理由の一つは指数間の競争だ」と指摘。「企業の実態ではなく指数算出ルールが株価に大きな影響を及ぼす事例になるようだ」との見方を示した。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、パッシブ運用商品は米国の株式投資信託の約6割を占め、S&P500種株価指数の時価総額の約2割を保有する。このため、株価指数に連動する投資が売買や価格形成をゆがめる可能性への懸念が以前から高まっていた。
「自己増幅的な連鎖」
指数算出会社にとって早期採用を実施するかどうかは、過熱感のある銘柄に飛びつくリスクと、上場直後の業界大手を取り逃すリスクとの間で難しい判断となる。
S&P500種株価指数を算出するS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、こうした企業の早期採用を可能にする提案を退けた。
ナスダックのエコノミスト、フィル・マッキントッシュ、ニコル・トルスキー両氏は先週公表したブログで、企業はより成熟した段階で上場するようになっており、新規株式公開(IPO)銘柄の早期採用は「経済にとって重要な上場企業を指数がより適切に反映する助けになる」と指摘した。2010-25年のデータでは、ラッセル1000に採用された銘柄は、S&P1500を上回るパフォーマンスを示す傾向があったという。
それでもイントロピックは、スペースX株へのパッシブ資金流入が「自己増幅的な連鎖」を生み出す可能性があると警告する。
指数ファンドから流入する資金規模は、各指数の採用基準日時点の時価総額によって決まる。だが、ファンドからの機械的な買い注文が後で入ることを見越して、裁定取引業者が事前に持ち高を積み上げることで、その時価総額自体が一時的に押し上げられる可能性があると、8日のブログで指摘した。
さらに、IPOに参加する投資家が将来のパッシブ需要を見込んで購入している場合、その影響はIPO価格の決定にまで及ぶ恐れがあるという。
イントロピックは「パッシブ資金による価格への影響は一時的だが、企業の上場プロセスで最も重要な局面の一つである株価形成をゆがめる恐れがある」と分析した。
原題:SpaceX IPO Risks Feedback Loop as Index Funds Eye 30% of Float(抜粋)
(7段落目に背景を追加して更新します)
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