光ファイバーケーブル大手フジクラの岡田直樹社長は、2027年3月期の利益計画について「下振れは絶対にない」と述べ、市場に広がる先行きへの警戒感を打ち消した。主力の人工知能(AI)データセンター向け光ファイバーは需給がひっ迫しており、値上げを進め、収益拡大につなげる姿勢を見せた。

岡田氏はインタビューで、4-6月期(第1四半期)は好調に推移しており、「計画以上になると思う」と述べた。主力の光ファイバーの製造に使う水素不足のリスクについては、在庫の活用を進めており、第1四半期時点での影響は限定的だと説明した。

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

フジクラ株に対する市場の見方は厳しく、5月以降、高値から4割超下落している。AIデータセンター向け需要拡大への期待で買われたが、決算発表や中期経営計画を受けて成長鈍化への懸念が強まり、同業の電線株やAI関連銘柄にも株安が波及した。

こうした市場の見方に対し、岡田氏は「株価は我々でコントロールできるものではない」とした上で、高い期待に応える施策を進めると明らかにした。光ファイバーについては「価値のある商品を提供している」として、「もう少し価格を上げさせてもらう」と述べた。

また、光コネクターやサーバーを収納するラックなどの光コンポーネント分野は、足元で堅調に伸びているという。大規模な投資や立ち上げ期間を要しないことから、岡田氏は同分野の拡大にも注力する方針を示した。

光ファイバーは足元で増産余地が限られるものの、単価の上昇や情報通信事業の他分野で補う考えだ。

水素と事業分散

水素を巡る市場の懸念に対しては、調達先や液体水素・圧縮水素など形態の分散に加え、水素発生装置の導入を進めることで対応する考えを示した。比較的短期間で導入できる設備も活用し、供給面の不確実性を下げる方針だ。

過去を振り返ると光ファイバーは、半導体と同じように需要の浮き沈みがあり、慎重に投資する必要があると岡田氏は話す。リスク分散も重要だとして、AIデータセンターを運営するほぼ全てのハイパースケーラーと取引していると明らかにした。

またデータセンターに依存しすぎず、今後需要が拡大する通信インフラ分野にも注力するほか、米国以外にも一定のリソースを振り向けることで地域ポートフォリオを分散する考えを示した。

単純な比較はできないものの、株価指標にはなお開きがある。岩井コスモ証券の清水範一アナリストの予想EPSを基にした8日終値ベースの株価収益率(PER)は、フジクラが約38倍、住友電気工業が約29倍。清水氏は、情報通信事業への依存度が高いフジクラは業績のボラティリティが同業より大きくなりやすく、そのことが評価の差につながっているとの見方を示した。

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.