大和証券グループ本社は不動産運用事業において、専門部隊の人員を増強し、オフィスや賃貸住宅の賃料引き上げの取り組みを強化する。金利上昇に負けない不動産の収益力向上を目指す。

不動産運用を手がける子会社、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントの西垣佳機社長がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。4月に賃料交渉を直接担う人員を中心に10人増強した。全体の人数については明らかにしていないが、いわゆるフロント部隊の増強は2004年の会社設立以来初めて。金利上昇に対応する動きとなる。

一般的に金利上昇は不動産運用にマイナスに働く。物件取得のための借り入れコストが増加するほか、国債利回りの上昇などにより不動産投資の相対的な魅力が低下するためだ。10年国債の利回りは5月に一時2.80%と1996年以来の高水準を付けた。

大和リアル・エステート・アセット・マネジメントの西垣社長

西垣氏は「賃貸マーケットは非常に好調。インフレ基調が続く中で、賃料成長をいかに図るかに腐心している」と述べた。賃料改定にはテナントや入居者との個別交渉が必要となるため、人員増強によって取り組みのペースを加速する。賃料引き上げによって既存物件の収益力を向上させ、投資家への分配金増額を図る。

大和リアルは東京都心部などに保有するオフィスや賃貸マンションといった不動産を2つの上場不動産投資信託(REIT)と3つの私募REITなどを通じて運用している。運用受託残高(AUM)は3月末時点で約1兆6000億円。既存物件の収益力向上に加え、新たな物件取得で残高拡大につなげる。大和証Gは大和リアルを含めたグループ全体での不動産関連のAUMを24年9月末の1兆5000億円から30年に1兆8000億-2兆円に拡大する方針を掲げている。

賃料改定の目安として消費者物価指数(CPI)を参考にする。契約更新やテナント入れ替えなどのタイミングで改定を計画している。西垣氏は「CPIに連動した賃料は、入居するテナントにとって分かりやすい要素もある」と説明した。総務省によると25年の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の年間平均は前年比で3.1%上昇した。

三井住友トラスト基礎研究所の大谷咲太投資調査部長は、大都市を中心に建築コストや人件費の高騰でオフィスや賃貸住宅の新規開発が滞っているとして「需給がタイトで貸し手が有利な状況だ」と指摘。今後5年程度のオフィス賃料は年間5%前後の上昇と足元の物価上昇を上回る伸びを見込む。

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