スペースXなど超大型IPO(新規株式公開)候補企業は、S&P500種株価指数への採用まで長い道のりを迫られそうだ。同指数のルールを定めるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが、黒字基準などの指数採用要件の緩和を盛り込んだ提案を退けたためだ。

S&Pは4日、1カ月間の意見公募を踏まえ、直近四半期を含む過去1年間の純利益が黒字であるという要件を免除しないとの決定を発表した。

エバコアISIのアナリストは、イーロン・マスク氏率いるロケット、衛星、人工知能(AI)事業のスペースXが年間ベースで純利益を黒字化するのは2027年になると予想している。非公開情報であることを理由に関係者が匿名を条件として語ったもので、その見通し通りの場合、要件が維持されればS&P500への組み入れは28年中のどこかまでずれ込む可能性がある。

フロリダ大学の名誉教授でIPOイニシアチブの責任者を務めるジェイ・リッター氏は、「こうした超大型IPO銘柄はいずれ、事業モデルが失敗しない限りS&P500に採用される。問題は時期だ」と指摘。「不動株が少なく、S&P500に連動する資金規模が極めて大きいことを考えれば、株式の流動性が高まるまで待つのは良いことだと思う」と述べた。

スペースXは6月12日に取引開始を予定している。同社は1兆8000億ドル(約289兆円)の企業価値を目指しており、実現すればS&P500構成企業のうち6社を除くすべてを上回り、マスク氏が率いるテスラも超える規模となる。

同社はまた、早ければ今月末にナスダック100指数などへの組み入れが見込まれている。S&Pと異なり、ナスダックはルールを変更し、従来最低3カ月だった待機期間を15営業日に短縮した。FTSEラッセルも同様に、待機期間を5営業日へ短縮している。

スペースXの広報担当者からはコメントを得られなかった。エバコアISIの広報担当者はコメントを控えた。

収益性との両立

ブルームバーグ・ニュースの報道によると、アンソロピックとOpenAIも早ければ年内のIPOを検討している。両社とも上場時には1兆ドル超の企業価値が見込まれているものの、スペースXと同様のハードルに直面する可能性がある。

AIモデル開発企業である両社の指数採用は、事業運営と支出のバランス次第となる。アンソロピックの4-6月期の営業利益は5億5900万ドルに達する見込みだが、コンピューティング資源への投資やその他コストの増加に伴い、今後の四半期で必ずしも黒字が続くとは予想していないと、ブルームバーグ・ニュースは報じている。

OpenAIは今後数年間は黒字化しないとみられている。

PRSPCTVキャピタルのファンドマネジャー、ローレンス・クレアチュラ氏はインタビューで、「企業戦略の観点から見れば、赤字経営を選択することは必ずしも不合理ではない」と指摘した。

「当面はS&P500に組み入れられないことを意味する」が、上場から何年もたってからS&P500に採用された事例としてアマゾン・ドット・コムやウーバー・テクノロジーズといった大企業を挙げ、「現在のそれら企業を見れば分かるだろう」と語った。

S&Pダウ・ジョーンズの元シニア指数アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏によると、S&P500の目的は米国内株式市場を忠実に反映することにある。同氏は、純利益要件の維持は「S&Pが擁護するのに最も苦労する基準だ」とし、米国会計基準(GAAP)に基づく利益要件は指数にとって有益だとの考えを示した。

その上で、「利益を出している事業部門があるにもかかわらず、利益よりも研究開発費の方が多い企業がある」と述べ、スペースXもその一例だと指摘した。

原題:SpaceX and Other Mega IPOs May Wait Years to Join the S&P 500(抜粋)

--取材協力:Lu Wang (News)、Shirin Ghaffary.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.