(ブルームバーグ):2011年にサウジアラビアの富豪アルワリード王子がツイッター(現X)の株式を取得した当時、同氏は資産約200億ドル(約3兆2000億円)を有する世界有数の著名投資家だった。一方のイーロン・マスク氏は、まだ世界の富豪の仲間入りすらしていなかった。
それから15年後、マスク氏は自ら率いるロケット・衛星・人工知能(AI)企業スペースXの新規株式公開(IPO)によって資産は1兆ドルに迫る見通しだ。その恩恵はアルワリード王子にも及んでいる。
王子の投資会社キングダム・ホールディングは、王子個人と同社がスペースX株の0.63%を保有しているとのサウジアラビアのメディアの報道内容を確認した。これを受け、キングダムの株価は今週入り、2日間で21%急騰した。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、王子の資産は約245億ドルに増加した。
アルワリード王子の持ち分は、ツイッターへの投資に始まり、その後xAI、さらにスペースXへと広がっていった投資の集大成だ。
王子が初めてマスク氏に賭けたのは2022年だった。マスク氏がツイッターを買収した際に保有株を引き継いだ。その後、2024年に王子はマスク氏のAIスタートアップ企業xAIへ出資し、xAIがXと統合したことにより、王子とキングダムはマスク氏に次ぐ大株主となった。さらに今年2月のxAIとスペースXの統合により、史上最大規模と見込まれるIPOの恩恵を受ける立場となった。
2025年12月に実施されたスペースX株の取引で示された企業価値8000億ドルと、xAIとスペースXの統合前の2026年1月に実施されたxAIの資金調達ラウンドにおける評価額に基づくと、アルワリード王子個人が保有するスペースX株の価値は現在約32億ドルとなる。ブルームバーグの試算には5%の流動性ディスカウントが含まれている。王子自身は約40億ドルと見積もっており、当初投資額の7倍超に達するとしている。
今回のスペースXのIPOでは750億ドルの調達が見込まれ、2019年のサウジアラムコの294億ドルを上回る史上最大規模となる見通しだ。恩恵はアルワリード王子の会社に出資する政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)やサウジアラビア全体にも及ぶ。同国は石油依存からの脱却を目指す経済多角化戦略の中核にAIを据えている。
アルワリード王子はかつて中東で最も著名な金融界有力者の一人だったが、2017年には汚職摘発の一環として拘束された。その後釈放されたものの、キングダムの株価と王子の資産は打撃を受け、2020年には130億ドルを下回り、2014年のピークの約3分の1まで落ち込んだ。
現在では、マスク氏が率いる企業群への出資によって再び注目を集めている。王子は自身のXでマスク氏とのAI生成画像を頻繁に投稿しており、最近の投稿には「大胆なリーダーシップ、卓越した実行力」、「友人であり盟友でもある@elonmuskとの協力関係は世界に大きな影響を与えている」と記されていた。
原題:Saudi Prince Alwaleed Sees Wealth Soar as SpaceX Bet Pays Off
(抜粋)
--取材協力:Tom Maloney.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.