ゴールドマン・サックス・グループがスペースXの新規株式公開(IPO)主幹事の座を確保して間もなく、モルガン・スタンレーは顧客へのリポートで、同社も共同主幹事であり、単にアルファベット順でゴールドマンより後に記載されただけだと説明した。

それから時を置かずに、スペースXの宇宙船「スターシップ」を思わせる銀色のロケット模型が、黒い台座に載せられてゴールドマン本社ロビーに登場した。「弊社はIPOの筆頭主幹事を務めることを誇りに思う」とディスプレーには表示されている。

一方のモルガン・スタンレーはニューヨーク市マンハッタン区タイムズスクエアにある本社で、エレベーターや改札ゲート一帯をスペースXのロゴで埋め尽くした。

ウォール街ではマネーが重視されるが、語り継がれる武勇伝はもっと価値がある。

Photographer: Kena Betancur/Bloomberg

この長年のライバル同士は、今やセレブリティーカップルのような様相を呈している。ほぼすべての大型案件で肩を並べて登場しているからだ。スペースXの上場申請に続き、両行はアルファベットが計画する800億ドル(約12兆8000億円)超の資本調達も支援する。またOpenAIとアンソロピックのIPOにも関与すると、ブルームバーグは伝えている。

ゴールドマンのジョン・ウォルドロン社長は3日、「金融をなりわいとしている人間にとって、今は実に楽しい時期だ」とCNBCのインタビューで語った。

ウォール街にとって次の課題は、わずか2週間で1200億ドルを調達することだ。機関投資家や個人投資家から直接、あるいは他の金融機関ネットワークを通じて、ライバル2行が巨額の資金を集める能力が試される。

モルガン・スタンレー本社のロビー。スペースXのロゴが多数表示されている(6月3日)

力を入れているのは両行に限らない。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は例えば、メリルリンチの精鋭営業部隊を総動員している。匿名の関係者によると、同行のジム・デマーレ社長は4日にニューヨークで、スペースXのグウィン・ショットウェル社長兼最高執行責任者(COO)およびブレット・ジョンセン最高財務責任者(CFO)とともに、同社の株式公開を売り込むため、トップクラスの金融アドバイザーや富裕層顧客との会合に臨む。

マンハッタンのブライアントパークに近いBofAのタワーは、ロケットが打ち上がる様子を模したライトアップが施される予定だ。

ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、ライバルに対する同行の優位性を誇示することをためらわない。

ソロモン氏はブルームバーグのポッドキャスト番組「Odd Lots」のインタビューで、「この案件に関与していたのは、数日前までの5カ月間、ゴールドマンだけだった」と語った。

モルガン・スタンレーとゴールドマンの広報担当者は、いずれもコメントを控えた。

もっとも、こうした大型案件の獲得が両行にどれだけの収益をもたらすかは未知数だ。両行の株式引受手数料収入に対するアナリスト予想は、今年に入ってほとんど変化していない。

その理由は、超大型IPOでは通常、投資銀行はかなり低い手数料を受け入れなければならないためだ。実際、スペースXはIPOを担当する金融機関に対し、極めて低い手数料率での契約を求めて交渉している。低い料率とはいえ、金融機関の手数料収入は約5億ドルが見込まれている。

こうした上場案件を率いるバンカーにとっては、手数料は二の次に近い。あるライバル行の関係者が羨望(せんぼう)を込めて語ったように、こうした案件はトップバンカーたちが何十年にもわたって語り継ぐ類のものだからだ。

原題:Goldman Erects Lobby Rockets as IPO Rivalries Heat Up (1)(抜粋)

--取材協力:Sridhar Natarajan.

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