イランが秘密裏に核兵器開発を進めているリスクは、米国とイスラエルが約1年前に同国への最初の軍事攻撃を実施する前よりも高まっていると、西側当局者らは国際原子力機関(IAEA)が公表した新たなデータを基に指摘している。

ブルームバーグが確認した配布文書によると、IAEAは、イランが保有する兵器級に近い高濃縮ウランの大量在庫が、新たな核拡散リスクをもたらしていると警告した。2025年6月の12日間戦争につながった空爆の実施前には、こうした核物質が兵器開発に転用されていないことを確認するため、IAEAが毎週査察を実施していた。しかし、現在はそうした状況ではなくなっている。

報告書に詳しい外交当局者2人によれば、今回明らかになった内容は、米国とイスラエルによる対イラン戦争により、従来は存在しなかった新たな核問題が生じていることを浮き彫りにしている。機微な情報であることを理由に匿名を条件に語った当局者らは、核物質がIAEAの保障措置の対象外に置かれる期間が長くなるほど、平和利用以外の目的に転用されるリスクが高まると指摘した。

ウィーンで先月配布された119ページの限定報告書によると、IAEAは現在、この核物質の所在や状況を確認できておらず、「いかなる結論も導き出せない」としている。報告書は「IAEAが検証できていないこの核物質には大量の高濃縮ウランが含まれている」としたうえで、「核拡散上の懸念が生じている」と警告した。

トランプ米大統領にとって、イランに核開発の野心を断念させることは最重要課題の一つだ。今回の報告書は、核合意を巡る交渉の停滞を受けて市場が混乱するなかで公表された。IAEAの警告は、停戦が長期間維持されたとしても、恒久的な核合意の実現には依然として大きな障害が残っていることを示唆している。

査察回数は昨年、12日間戦争後にイランが新たな制限を課したことを受け、それまでの約半分に減少した。査察官は現在も、被害を受けたフォルドゥ、イスファハン、ナタンズの施設に立ち入れていない。

ホワイトハウスは、イランの核開発計画は壊滅したとの立場を維持している。一方で米国は、問題となっているウランの扱いを巡る交渉を進めてきた。トランプ氏は、高濃縮ウランをイラン国外に搬出する案や、IAEAの監督下でイラン国内において不活性化する案に言及している。

ただ、当局者の間では、トランプ政権が直近の交渉にIAEAを関与させていないことが新たなリスクを生むとの懸念が強まっている。

IAEAのグロッシ事務局長は2日、アルジャジーラとのインタビューで「IAEAは今回の交渉の当事者ではない。2月に終了した前回の交渉までは参加していた」と発言。「検証できない内容に基づく合意は、悪い合意につながる」と述べた。

原題:Iran Nuclear Risk Seen Higher Than Before Trump Attacks Began(抜粋)

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