トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は、レバノンでの戦闘を巡る電話会談について異なる説明を示した。米国はイランとの和平合意に向けた取り組みを軌道に戻そうと苦慮している。

イランでの戦争終結に向けた進展を巡り、混乱したシグナルが相次いでいる。戦争は4カ月目に入り、地域全体で数千人が死亡しているほか、世界的なエネルギー危機を引き起こしている。イランは1日、レバノンでの衝突が続いていることを理由に米国との協議を停止すると表明した。イランは、レバノンでの戦闘停止がより広範な和平合意の一部でなければならないとしている。

トランプ氏は1日夜、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、ネタニヤフ氏に対し「レバノンのベイルートに対する大規模な攻撃を行わないよう求めた。彼は部隊を引き返させた」と指摘。「私はまたヒズボラ指導部の代表者とも会話し、彼らはイスラエルとその兵士への発砲を停止することで合意した。同様に、イスラエルも彼らへの発砲停止に同意した。これがどれだけ続くか見てみよう。願わくば永遠に続いてほしい!」と述べた。

これに先立ち、トランプ氏はイランとの協議が「急速なペースで」続いているとし、イラン側の主張とは異なる認識を示した。

一方、ネタニヤフ氏は親イラン民兵組織ヒズボラが攻撃を停止する限り、イスラエルはベイルートの標的を攻撃しないと確認した一方、レバノン南部でのイスラエルの作戦は継続すると表明した。

SNSへの投稿で「私は今夜、トランプ大統領と話し、ヒズボラがわれわれの都市と市民への発砲を停止しないなら、イスラエルはベイルートのテロ標的を攻撃すると伝えた」とし、「われわれのこの立場に変更はない。同時に、イスラエル国防軍(IDF)はレバノン南部で計画通り作戦を継続する」と述べた。

レバノンは、ヒズボラが米国の提案に同意したとの確認を受けた。レバノン大統領府は投稿で、イスラエルによるベイルート南郊への攻撃計画は、ヒズボラが攻撃を停止するのと引き換えに中止されると明らかにした。

大統領府によると、停戦はレバノン全土に拡大されるべきで、6月2、3日にさらなる交渉が行われる。

こうした状況を受け、アジアの株式市場は2日午前の取引で過去最高値圏から下落。北海ブレント原油は1バレル=95ドル近辺で推移している。

トランプ氏は、4月に始まった停戦が依然として脆弱(ぜいじゃく)な状態にある中でも、交渉は前進しており合意は近いと繰り返し主張してきた。

これに対しイランは先週、暫定合意が近いとの報道を否定。1日にはレバノンでの戦闘が続く場合、イスラエルに対し「抵抗の枢軸」と共に行動すると表明した。抵抗の枢軸は、中東における親イラン武装組織のネットワークを指す。

イランは、米国とのいかなる合意もレバノンを対象に含めなければならないと主張している。レバノンでは、イランが支援するヒズボラとイスラエルが戦争状態にある。イスラエルは週末にレバノン侵攻を拡大し、ヒズボラもイスラエル北部への攻撃を強化した。

イラン準国営タスニム通信は声明文を引用し、同国交渉団が「仲介者を通じた協議や文書のやりとり」を停止すると報じた。声明文の発表元については明らかにしていない。イランはホルムズ海峡を完全に封鎖する可能性も示唆した。

タスニム通信によれば、イランと抵抗の枢軸は、ホルムズ海峡とバベルマンデブ海峡の全面封鎖を選択肢として検討している。バベルマンデブ海峡は紅海とアデン湾を結ぶ要衝で、スエズ運河への南の玄関口に当たる。欧州、中東、アジアを結ぶ主要な海上輸送ルートの一つとなっている。

トランプ氏はこれに先立ち、イランが協議停止を検討しているとの報道について、イランから何も聞いていないと述べたと、NBCの記者がSNSに投稿した。

米国とイランは、合意案を巡って間接的にメッセージをやりとりしてきた。この案では、双方が停戦を約2カ月延長し、イランがホルムズ海峡の通航を再開する一方、米国はイランの港湾に対する封鎖を解除することになる内容となっている。

トランプ氏は、エネルギー価格を急騰させ、多くの米国民の支持を得られていない戦争を終結させるよう圧力を強められている。一方で、イランが要求する資金凍結解除に反対する強硬派にも配慮しなければならない。

トランプ氏は5月31日遅くにSNSへの投稿で「ただ落ち着いて見ていてほしい。最終的には全てうまくいく」と述べた。

ホルムズ海峡では衝突が再び発生している。米軍は週末、イランのレーダー施設と指揮統制拠点を攻撃した。イランの「攻撃的な行動」に対する「抑制的な」対応だったと説明した。

米中央軍は1日、クウェートに駐留する米軍部隊を標的としたイランの弾道ミサイル2発を迎撃することに成功したと発表した。

これとは別に、イラン外務省はテレグラムへの投稿で、アラグチ外相がパキスタンの陸軍トップ、ムニール元帥と電話会談し、地域情勢や停戦プロセスに関連する問題について協議したと明らかにした。

原題:Trump Aims to Calm Lebanon Tensions to Keep Peace Talks Alive(抜粋)

--取材協力:Carla Canivete、Courtney Subramanian、Devika Krishna Kumar、John Harney.

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