(ブルームバーグ):人工知能(AI)スタートアップの米アンソロピックは、新規株式公開(IPO)に向けた申請書類の草案を米証券取引委員会(SEC)に非公開で提出した。早ければ今秋の上場を目指し、長年のライバルであるOpenAIより先に上場する可能性がある。
アンソロピックは1日のブログ投稿で「売却する株式数や価格は現時点でまだ決定していない」と説明した。
かつてはOpenAIに対する挑戦者とみなされていたアンソロピックだが、ここ数カ月で複数の面でOpenAIを上回っている。アンソロピックは最近実施した資金調達ラウンドで、企業価値を9650億ドル(約154兆円)と評価する水準で650億ドルを調達。評価額で初めて競合のOpenAIを上回った。同社のAIツールは、コーディングやその他業務の効率化を目指す顧客からの需要が急増している。
今回の提出により、アンソロピックはOpenAIに先駆けて株式市場に上場する可能性が高まり、より幅広い投資家層から注目と資金を集める態勢を整えた。ブルームバーグが5月に報じたところによると、OpenAIも数週間以内にIPOに向けて非公開で申請を行い、今秋の上場を目指しているとされる。
OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は2日のCNBCとのインタビューで、自社が上場に向けてアンソロピックと競争しているとの見方を否定した。同氏は「適切だと判断した時に実施する」と述べた。
アンソロピックとOpenAIはこの1年の大半を通じて、より幅広い専門業務の効率化を目指したAIモデルを相次いで投入してきた。対象分野はコーディングから金融サービス、医療まで広がっており、より多くの法人顧客を獲得し、高い企業評価額を正当化することが狙いだ。
アンソロピックは年換算売上高を80倍拡大させたとして最近話題を集めている。一方、OpenAIは製品ラインアップの見直しや経営陣の再編を進めているほか、売上高およびユーザー数の社内目標の一部を達成できなかったとの報道を受け、成長性に対する新たな懸念にも直面している。
これに対し、OpenAIのサラ・フライアー最高財務責任者(CFO)は4月30日のブルームバーグとのインタビューで、同社は目標を達成しており、自社製品には「垂直の壁」を上るような需要があると述べた。
もっとも、アンソロピックも不確実性を抱えている。同社は現在、米政府との法廷闘争の渦中にある。米国防総省が同社をサプライチェーン上のリスクに指定したためだ。この指定は通常、外国の敵対勢力に対して用いられる。同社は、トランプ政権によるこの措置が数十億ドル規模の売上高を危険にさらす可能性があるとしている。
ブルームバーグ・ニュースが報じたところによると、同社は第2四半期売上高が109億ドルに達すると見込んでおり、第1四半期から2倍超の増加となる見通しだ。また、初の四半期黒字達成も視野に入っている。
事情に詳しい関係者によると、同社は投資家に対し、年換算売上高が6月末までに500億ドルを超えるとの見通しを示した。昨年7月時点では40億ドルだった。
アンソロピック、OpenAI、スペースXはいずれも、上場計画を進めている。未公開市場での資金調達は近年急拡大しているものの、株式公開によって企業は一段と幅広い投資家層から資金を得ることが可能になる。また、初期投資家や従業員にとっても保有株式の換金がしやすくなる。
事情に詳しい関係者によると、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーが、アンソロピックおよびOpenAIの上場案件で主要な役割を担う候補として検討されている。
原題:Anthropic Files Confidentially for IPO in Race With OpenAI (3)(抜粋)
(OpenAIのCEOによる発言などを追加して更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.