(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は5月31日、世界的なステーブルコインの普及がFRBの金融政策の影響力を強める可能性があるとの見方を示した。
ウォラー氏はクロアチアのドゥブロブニクで開かれたイベントで、ステーブルコインを「採用する国々は、固定為替相場制のようなものだ」と指摘し、「米国の金融コストを輸入することになるため、ステーブルコインをより多く利用する国々では、米金融政策の影響範囲が広がることになる」と述べた。
ステーブルコインは、価値を安定的に維持することを目的としたデジタルトークン。発行体は通常、発行したトークンと同額のドルや米国債など流動性の高い資産を保有すると約束している。

今回の発言は、同氏がこれまで示してきた見解を踏襲している。ウォラー氏は2025年2月の講演で、ステーブルコインはドルの基軸通貨としての地位を広げる可能性が高いとして支持を表明する一方、明確なルールと規制の枠組みが必要だと語っていた。
ウォラー氏はまた、中央銀行デジタル通貨(CBDC)構想を批判し、CBDCでなければ解決できない問題はなく、「CBDCは解決すべき問題を探しているソリューションだ」と述べ、そのため「世界の主要中央銀行のほぼすべてがCBDC推進をやめてしまった。その必要性を見いだせないのだ」と説明した。
欧州中央銀行(ECB)のブイチッチ次期副総裁が司会を務めたパネル討論で、ウォラー氏は「CBDCを追求しているのはECBと中国だけだ」と言及。「2つの中銀だけだ。しかも中国では誰もそれを使っていない。人々はワッツアップやアリペイを好み、CBDCを使っていない」と語った。
ECBは2029年にデジタルユーロを導入する計画。早ければ来年にも試験運用段階を開始する。このプロジェクトは、ビザやマスターカードといった米決済企業への依存や、ドル連動型ステーブルコインの台頭に対する懸念を背景に、通貨主権の確保を目的としている。
ブイチッチ氏は、ウォラー氏の発言を訂正する必要があると反論。「CBDC導入を決定した西側の中央銀行は21行ある」とブイチッチ氏は述べ、ユーロ採用国の数に触れた。
ラガルドECB総裁を含む欧州当局者らは、ステーブルコインに批判的な姿勢を示している。ラガルド氏は5月上旬の講演で、ユーロ連動のステーブルコインであっても金融安定や金融政策の波及経路にリスクをもたらすとの見解を示した。
原題:Fed’s Waller Says Stablecoins to Broaden Reach of US Policy (1)(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.