イラン戦争の勃発時にペルシャ湾内で足止めされた大型原油タンカーのうち、約4分の1がこれまでに湾外への脱出に成功した。少しずつ、目立たない形でホルムズ海峡を通過している。

ブルームバーグが集計した船舶データによると、2月28日の戦争開始で足止めされた大型タンカー(積載能力70万バレル以上)109隻のうち、現時点で29隻が同海峡を通過した。

この輸送量は、なおペルシャ湾内にとどまる原油や石油製品のごく一部にすぎないが、在庫の取り崩しが記録的なペースで進んでいる世界市場では、その積み荷に買いが殺到している。位置情報を発信する装置の電源を切っている船舶も多く、実際に海峡を通過した隻数はこれを上回る可能性がある。

3カ月に及ぶ戦争で断続的な戦闘が続く中、タンカーは海峡通過のため異例の航行を余儀なくされている。陸上からの攻撃の脅威を避けるため、夜間に海峡を通過した船もあった。積み荷の受け入れ国の政府が、通航許可を得るため働きかけを強いられた例もある。

イラン関連の船舶は集計対象から除外した。これらの船舶は4月中旬まではホルムズ海峡を自由に通航できたためだ。

ホルムズ海峡の事実上の閉鎖は、エネルギー供給に史上最大の混乱を招き、主要燃料価格を急騰させた。それ以来、石油トレーダーは船舶の航行状況を注視している。ホルムズ海峡を巡る問題は、米国とイランの和平協議で主要な争点の一つとなっている。

米石油大手シェブロンのマイク・ワース最高経営責任者(CEO)は29日、ホルムズ海峡を航行する複数の船舶がここ数日で攻撃を受けたと明らかにした。その上で、和平合意が成立するかどうかにかかわらず、船主はなおペルシャ湾で「極めて現実的な」リスクに直面しているとの認識を示した。

海峡通過に成功したタンカーによる石油輸送量は日量約52万バレルにとどまる。この量は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が輸出をホルムズ海峡以外のルートに振り向けるため利用している代替パイプラインの輸送量も下回る。

大半のタンカーは、自らの位置を知らせる自動船舶識別装置(AIS)の信号を停止して海峡を通過した。こうした信号には広範な妨害が実施されており、船舶の通航状況を検証することは困難になっている。

このため、海峡を通過した船舶数は実際より少なく集計されている可能性がある。なお、依然として湾内にとどまるタンカーのうち約20%は、今月に入ってから位置情報を発信していない。

原題:Quarter of Big Oil Tankers Trapped by Iran War Have Escaped (1)

--取材協力:Prejula Prem、Weilun Soon.

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