米国とイランが停戦を60日間延長することで暫定合意し、アジア時間29日の原油相場は下落した。ホルムズ海峡を通る輸送の再開への期待から、北海ブレント先物は月間ベースで2020年以来最大の下落率となる見通しだ。

ブレント先物は1バレル=92ドル近辺まで下落し、月間では19%安となった。米国産原油の指標となるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は、88ドルを下回った。事情に詳しい関係者によると、ホルムズ海峡を通る輸送の「制限がなくなる」とニュースサイトのアクシオスが報じた後も、トランプ米大統領はなお合意条件を受け入れていないという。

バンス副大統領は記者団に対し、イランとの合意が「いつ成立するのか、あるいは成立するのかどうか」を判断するには時期尚早だと述べた。これに先立ち、ベッセント財務長官は、暫定合意が成立したか問われた際、「交渉団で協議が続いている」と述べるにとどめた。

ベッセント米財務長官はホワイトハウスでの記者会見で、トランプ大統領が米国民や米国にとって不利益となる合意を結ぶことはないと語った。

原油相場は5月に入り、何らかの合意に達するとの観測から下落基調となっている。当事国は協議の進展を繰り返し強調してきたが、なお行き詰まり状態が続いてきた。2月末以降のホルムズ海峡の事実上の閉鎖により、日量数百万バレルの原油供給が遮断され、前例のない世界的なエネルギーショックを引き起こしている。

「合意とされるものに向けて、もどかしいほどゆっくりと近づいている」と米外交政策研究所のアーロン・スタイン所長は述べた。その上で、「もし合意が停戦の延長であれば、根本的には何も変わらない。これまでの合意と異なる点は、少なくとも双方の封鎖を相互に解除する必要性について一定の共通認識があるように見えることだ」と語った。

現時点では、イランの核開発計画、ホルムズ海峡の支配維持、制裁緩和など、交渉上の争点がどのように解決されるのかは依然として不透明だ。ベッセント氏によると、海峡の再開放とイランによる高濃縮ウランの引き渡しは、いかなる合意にも必要なトランプ大統領の「譲れない条件(レッドライン)」だという。

停戦延長で合意したとしても、原油供給の再開に向けて複数のハードルがある。ホルムズ海峡の機雷除去が必要となるほか、生産停止中の油田は再稼働まで数カ月を要する可能性がある。さらに、ドローンやミサイル攻撃で損傷したエネルギーインフラの修復も必要だ。輸送船が到着するまでにも数週間かかる。

原題:Oil Edges Lower at Open on Tentative Deal to Extend Iran Truce(抜粋)

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