三井物産の堀健一社長は液化天然ガス(LNG)事業の拡大への意欲を示した。イラン戦争で世界のエネルギー供給体制に混乱が生じる中で代替調達手段への需要が高まっているほか、人工知能(AI)データセンターの普及で電力需要の増加が見込まれることが背景にあるという。

堀氏は都内での28日のインタビューで、「LNGやガス化学事業を拡張する機会を常に探している」と述べ、優良な投資案件を積極的に取り込んでいく意向を示した。

インタビューに答える三井物産の堀社長(動画)

イラン戦争でエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことでエネルギー価格が世界的に高騰するなど大きな影響が出ており、堀氏は代替調達手段を求める国や企業の要求にいかに対応していくかが重要だと述べた。

中東や米国、豪州などで天然ガス事業を手掛ける三井物産にとって供給網の拡大は追い風になる。ただ、エネルギーへの投資は地政学上のリスクの影響を受けやすい難しさもある。開発中のモザンビークLNGプロジェクトは現地の治安悪化を受けて建設工事の一時中断を余儀なくされた。安定操業できる案件を選別できるかが課題となる。

投資積み増しも

同社が5月に公表した2029年3月期までの3カ年の中期経営計画では、新たな成長投資と追加的な株主還元のために3年間で2兆4000億円の枠を設定した。投資決定済みの案件や配当を加えると5兆2400億円に上る。同期間に想定するキャッシュインよりも大きな金額だが、さらに投資を積み増す可能性も視野に入れる。

堀社長は今回のインタビューで、「今はバランスシートが強い。レバレッジを上げる余地がある」と足元の財務面から投資を増やすことに自信を示した。

中期計画の期間中には需要の急拡大が見込まれるデータセンターへの投資も計画しているという。具体的な方法や地域については明かさなかったものの、データセンターを運営する大規模な会社にエネルギーや電力を供給することはあるかもしれないとした。

中東の混乱を巡っては、三井物産がカタールで参画するLNG事業が操業を停止し、想定外の事態で契約を履行できなくなったことを示す「不可抗力条項(フォースマジュール)」を宣言した。堀氏は再開時期については見通せないものの、中東は世界のエネルギー供給源として引き続き重要であり、長期的な事業に与える影響を注視しているとした。

(7段落目のデータセンター関連の記述を訂正します)

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