米セントルイス・ワシントン大学のスコット・ウィルソン最高投資責任者(CIO)は約10年前、大学資金約5000万ドル(約80億円)をイーロン・マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースXに投じた。

この投資はその後、価値が急増し、現在170億ドルとなった大学資産の10%以上を占めるまでになった。資産の大半は大学基金だ。保有株は主に共同投資を通じて取得され、さらに外部のプライベートエクイティ(PE)やベンチャーキャピタル(VC)運用会社を介した追加ラウンドでの出資分も含まれる。

世界最大規模になると見込まれるスペースXの新規株式公開(IPO)が完了すれば、同大学は、大きな利益を得る見通しだ。長期視点で投資を集中させる戦略が大学基金に恩恵をもたらす一例と言える。

ウィルソン氏は「これが最後にならないことを願っている」と述べ、「われわれは優れたパートナーを探し、興味深い案件に取り組もうとしている。彼らが非常に魅力的な案件を見つけた場合、個々のアイデアに追加資金を投じるようにしている」と明かした。

米カリフォルニア州ホーソーンの施設外に展示されたスペースXの再利用可能ロケット「ファルコン9(Falcon 9)」(2026年4月13日)

バークレイズやバンク・オブ・アメリカ(BofA)でトレーダーを務めた経験を持つウィルソン氏は、長年にわたりPEやVC、ヘッジファンドへ投資してきた米名門大学とは異なる手法を取る。ポートフォリオは少数の運用会社に集中させており、同大学の基金の約40%は外部運用会社との共同投資だ。

同氏は「われわれにとって本当に重要なパートナーは30社ある」と述べ、「資金の大部分は、ごく少数の非常に近い関係にあるパートナーを通じて投じている」と語った。

マスク氏のロケット、衛星、人工知能(AI)事業を手掛けるスペースXに投資している大学は、セントルイス・ワシントン大学だけではない。ヴァンダービルト大学の投資責任者アンダース・ホール氏によると、同大学のスペースX投資額は約1億7100万ドルと推定される。2025年6月時点の大学基金総額は109億ドルだった。

ホール氏によると、ヴァンダービルト大の投資の一部は10年以上前、ゼネラルパートナー(GP)との関係を通じて実施された。

米国の裕福な大学は投資判断において時間的余裕という利点を持つ。時には数百年の歴史を持つ大学は、VC投資を行う上でより大きな自由度を持つ。

原題:SpaceX Fuels More Than 3,000% Return for Washington University(抜粋)

--取材協力:Madlin Mekelburg.

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