米国とイランが戦闘再開の回避を模索する中、イランは米国から提示された最新の和平案について、両国の溝を一部埋める内容だとの認識を示した。一方で、イラン最高指導者モジタバ・ハメネイ師による高濃縮ウラン備蓄維持を巡る発言や、ホルムズ海峡の通航料を巡る対立が、事態打開への期待に影を落としている。

準国営イラン学生通信(ISNA)は21日、イランが米国から提示された文書への回答作成を進めていると報じた。米国の提示案については「ある程度の隔たりを縮めるものだ」と伝えたが、情報源には触れていない。また、「さらに隔たりを縮めるには、米国が戦争への誘惑を断つ必要がある」とも報じた。

こうした動きは進展を示唆するものだったが、ロイター通信は、モジタバ師が高濃縮ウランを国外に搬出しないよう指示したと報道。これを受けて原油相場は一時上昇した。またトランプ米大統領は、イランとオマーンによるホルムズ海峡の恒久的な通航料制度導入の動きに反対すると表明した。

トランプ氏は21日にホワイトハウスで記者団に対し、「われわれは海峡の開放と自由航行を望んでいる。通航料は望まない」と述べた。

ルビオ米国務長官は、通航料制度が導入されれば、米国との合意は「実現不可能になる」と述べた。

主要争点を巡る双方の発言は食い違っており、合意に向けて実際に距離が縮まったのかはなお不透明だ。

米国はこれまで、イランが核兵器製造に利用する恐れがあるとして、濃縮ウランの引き渡しと、少なくとも10年間のウラン濃縮停止を繰り返し求めている。イラン指導部は公の場で、こうした条件に難色を示してきた。イランのペゼシュキアン大統領は21日、交渉で「われわれは決して引き下がらない」と表明した。

トランプ氏は20日、イランが要求を受け入れなければ、近く攻撃を再開する可能性があると警告した。4月8日の停戦発効以降、同様の威嚇を繰り返している。同氏は、合意が成立するか、そうでなければ「やや手荒なことをすることになるだろう。だが、そうならないことを願っている」と語った。

その後、イラン側が数週間前に提示された14項目の米提案を巡り、隔たりは縮まりつつあると示唆したことで、情勢改善への期待も広がった。この提案は、イランがホルムズ海峡を再開し、米国が海上封鎖を解除する短期合意をまず成立させ、その後、イランの核開発計画をめぐる本格交渉に進むことを想定している。

イランは米国への回答時期は明らかにしていない。イラン外務省は「レバノンを含むあらゆる戦線」での戦闘終結の確約をあらためて要求してたほか、制裁対象資産の凍結解除も求めた。

戦争開始から約3カ月が経過する中、ペゼシュキアン大統領は、自国が譲歩寸前にあるとの見方を否定してきた。Xへの20日の投稿で「強制によってイランを降伏させられると考えるのは幻想にすぎない」と述べた。

イランのペゼシュキアン大統領

一方、交渉仲介役を担ってきたパキスタンのムニール陸軍元帥は、21日に予定していたテヘラン訪問を延期した。中東の衛星テレビ、アルアラビーヤが「高官」の話として報じた。

原題:Progress in Iran Talks Undercut Over Uranium, Hormuz Tolls (1)(抜粋)

(米国務長官やイラン大統領の発言、パキスタンの動きを追加して更新します)

--取材協力:Arsalan Shahla、Patrick Sykes.

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