イラン情勢の改善期待で株式市場には楽観論が広がったが、今後は不透明

5月20日の米国株式市場は、イラン情勢の改善期待が高まり、楽観論が広がった。トランプ大統領は記者団に対し「イランとの交渉は最終段階にある。どうなるか見届ける。合意に至るか、あるいは少々厄介なことをするかだが、そうならないことを願う」(ロイター)と述べた。また、中国の大型タンカー2隻が、2ヵ月以上の足止⁠めを経てホルムズ海峡を通過した(同)ことや、イラン革命防衛隊(IRGC)が、過去24時間に石油タンカーやコンテナ船などを含む船舶がホルムズ海峡を通過したと明らかにした(Bloomberg)ことも注目され、原油価格が下落し、金利低下が進んだことも好感された。

2月末にイラン情勢が悪化して以降の流れを振り返ると、3月は株価が下落し、やや時間がかかったものの、4月には戦闘終結に向けた議論が始まった。しかし、その結果として株価が上昇し、終結前に危機感が和らいだ。その後は改善が進まない状況が続いたが、5月にかけてモメンタムがつき、株価は上昇を続けた。供給制約が続いている上に、株価上昇が需要を刺激するという見方から、インフレ懸念がさらに強くなり、金利に上昇圧力がかかった。現状では、今回のトランプ大統領の発言の「本気度」は分からない。しかし、このところトランプ大統領はFRBへの利下げ圧力を弱めるなど、態度が変わってきている印象もある。結局は、今回も金利上昇が金融市場や実体経済に与える悪影響が懸念されたことが、トランプ大統領の態度の軟化を促しているようにみえる。そのように考えると、インフレと金利上昇への懸念がある以上は、イラン情勢は徐々に改善に向かうと予想される。しかし、楽観論が台頭すれば、再び状況が前に進まない展開もあり得る。先行き不透明感が強い状況で、市場は消去法的に別次元で動くAI・半導体関連のヘッドラインを追い続けることになるだろう。

インフレ懸念が和らぎ、長期金利は低下

5月20日の米国債券市場は、原油価格が下落したことを受け、インフレ予想(BEI)主導で金利が低下した。長期金利は前日差▲8.1bp、2年金利は同▲6.3bpだった。この日は10年実質金利が同▲2.8bp、10年BEIが同▲5.0bpと、BEI主導で金利が低下した。
この日に公表されたFOMC議事要旨は利上げの可能性が議論され、タカ派的な内容だった。しかし、すでに利上げ観測は高まっていたことから、市場の反応は限定的だった。FF金利先物市場が織り込む年内の利上げ回数は約0.65回となり、前日の約0.81回から小幅に減少した。