トランプ米大統領は19日に予定していたイラン攻撃を見送ったと明らかにした。複数の中東諸国首脳から、外交的解決を模索する時間を確保するよう要請があったためとしている。

トランプ氏は18日、自身のSNSへの投稿から数時間後に行われたホワイトハウスでのイベントで、「攻撃はしばらく延期した。できれば永久に延期したいが、しばらくの間かもしれない。イランと非常に重要な協議を行っており、その結果を見極めたい」と述べた。

さらに、「サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)などから、2-3日延期できないか求められた。合意成立にかなり近づいていると彼らは考えているためだ」と説明。「イランが核兵器を手にしないという内容で合意でき、彼らが満足するなら、米国も恐らく満足するだろう」と語った。

これまでも、イランに対する軍事行動再開を繰り返し示唆してきたが、実際には踏み切っていない。現時点でイラン側から交渉再開を確認する発表は出ていない。トランプ氏は、受け入れ可能な合意に至らなければ米国は攻撃に踏み切る用意があるとした一方、期限は示さなかった。

こうした発言は、戦争を巡りトランプ氏が難しい立場に置かれていることを改めて示した形だ。イランは、米国が再攻撃に踏み切る現実味が乏しい中、強硬姿勢を崩していない。一方、緊張激化は原油価格のさらなる上昇を招く恐れがあり、米政権はこれまでそうした事態を避けようとしてきた。

ホルムズ海峡に停泊する船舶(16日)

戦争終結に向けた合意とホルムズ海峡経由のエネルギー輸送再開を巡る見通しについて、強弱入り交じるシグナルを投資家が消化しようとする中、原油と株式市場は荒い値動きとなった。トランプ氏の発言を受け、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は一時1.4%下落し、S&P500種株価指数は下げをほぼ解消した。

18日には、米国とイランの双方が、新たな提案を不十分として退けたことを明らかにしていた。

ニュースサイトのアクシオスによると、イランが17日に仲介国パキスタンを通じて示した提案についてホワイトハウスは、高濃縮ウラン備蓄の引き渡しや追加濃縮の停止に関する具体的な確約が盛り込まれておらず、有意な改善を欠いていると判断した。米高官と事情に詳しい関係者の話として伝えた。

一方でイラン側も、米国の要求は依然受け入れられないとの認識を示している。イランは主要な要求で譲歩する姿勢を示しておらず、凍結資産の解除や戦争被害への補償支払いも求めている。

戦争によりホルムズ海峡を通じた原油輸出がほぼ途絶える中、トランプ氏はイランに対し、合意に応じなければ攻撃を再開すると圧力を強めている。イランも報復を続ける構えだ。18日には、UAEが主要な原子力発電所近くでドローン攻撃があったと発表した。

UAEの原発へのドローン攻撃は、停戦の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにした。UAE国防省によると、飛翔(ひしょう)体は同国西方から発射された。さらに2機を迎撃したという。

イランの準国営タスニム通信はこれに先立ち、米国がイラン産原油に対する制裁の一時免除を提案したと報じた。一方、匿名を条件に取材に応じた米当局者は、この報道は事実ではないと述べたが、詳細には言及しなかった。

タスニム通信によると、イランは米国の要求はなお過大だとし、核開発計画を犠牲にしてまで戦争終結に応じることはないとの立場を示した。

原油高によって、トランプ政権への圧力は強まっている。米財務省は18日、ロシア産原油の販売を認める制裁適用除外措置をさらに30日間延長すると明らかにした。ベッセント財務長官はX(旧ツイッター)への投稿で、この措置により「海上で滞留しているロシア産原油への一時的なアクセスを、最も脆弱な国々に提供する」と説明した。

サウジアラビアは、イランの支援を受ける武装勢力が多数存在するイラクから17日に領空へ侵入したドローン3機を迎撃・破壊したと発表した。これらがUAEへの攻撃の一部だったかどうかは明らかになっていない。

ロイター通信によると、パキスタンはサウジアラビアに8000人規模の部隊と戦闘機部隊、防空システムを配備した。両国の防衛協定に基づく措置だという。

原題:Trump Says Holding Off on New Iran Strikes After Gulf Appeal(抜粋)

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