高市早苗首相は、近く2026年度補正予算案の編成を表明する方針だ。中東情勢を背景にエネルギー価格の高騰が続いており、財源が枯渇する場合に備える。規模とともに新規国債の追加発行が必要かどうかが焦点となる。

複数の政府関係者が明らかにした。当初予算成立からわずか1カ月余りでの早期の補正編成表明となる。

財務省からはコメントを得られていない。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

米国・イスラエルとイランの戦争で、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡は実質的な封鎖が続いており、原油価格高騰は収まる兆しが見えない。国内メディアによると、ガソリン補助の基金残高は4月末時点で9800億円で、今年度当初予算の予備費も1兆円あるが、電気・ガス代の補助も重なれば、手元予算が枯渇する可能性は高まる。

政府はガソリン価格を1リットル当たり170円程度に抑えるため、予備費を財源に補助を続けている。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは13日付リポートで、1リットル当たり約42.6円の補助を続ける標準シナリオの場合、既存の基金は6月29日までに枯渇する可能性があると試算した。

高市首相は「現時点で直ちに必要な状況とは考えていない」との答弁を繰り返してきたが、20日に党首討論が行われることが決まり、補正の対応で野党からの追及を避けたい思惑も透ける。

関係者らによると、今回の補正は包括的に支援項目を盛り込む「経済対策」ではなく、突発的な事態に財政支援を行う災害対応的な側面が大きくなる見込みだ。

片山さつき財務相(中央左)に経済対策の提言を手渡す国民民主党の玉木雄一郎代表(15日)

歳出項目として、一般的な予備費とは別枠で積み上げる可能性もある。新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年度補正予算で同感染症対策予備費として1兆5000億円を計上。ロシアによるウクライナ侵攻が始まった24年度は第2次補正予算でウクライナ情勢経済緊急対応予備費1兆円を創設した。

補正予算を巡っては、国民民主党が15日に片山さつき財務相に3兆円規模を求める提言を提出した。歳出規模が大きくなれば財源探しがいっそう難航する。新年度が始まったばかりで、税収の上振れや国債費の不用がどの程度出るか読み切れない事情もあり、賄いきれなければ国債の追加発行は避けられない。

共同通信が14日に政府が補正予算の編成を検討していると伝えると、債券市場は金利上昇で反応した。15日の日本市場では、長期金利の指標となる新発10年債利回りが2.73%に上昇。18日には2.80%と1996年以来の高水準を更新した。財政に対する市場の感応度が高まる中、政府には規模や財源についての慎重な判断が求められる。

(背景情報を追加して更新しました)

--取材協力:横山恵利香、広川高史.

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