世界経済のゆがんだ土台が、18、19日にパリで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の焦点となる。世界の2大経済国である米国と中国が貿易関係の再構築を試みた首脳会談の直後だけに、議論の行方が注目される。

14-15日に行われたトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談に比べれば、今回のG7会議は脇役的な位置づけにあるとはいえ、議長国フランスは、米中協議の根底にある構造的なゆがみに切り込む場と位置づけようとしている。

マクロン大統領は、6月に自ら主催する首脳会議(サミット)に向け、「不均衡」への対処を最優先課題に据えている。米国の巨額の財政赤字や欧州の投資不足、中国の膨大な貿易黒字と内需の弱さといった喫緊の経済課題を念頭に置いている。

戦争やエネルギー供給の混乱、通商摩擦、さらには先週の世界的な債券売りといった問題も議題に上る見通しだ。だが、フランスは、こうした目先の問題にとらわれて、より深い構造的なずれに正面から取り組むことを怠れば、緊張は高まる一方だと警告する。エコノミストの間では、金融と貿易の流れの再均衡に向けた協調行動がなければ、より深刻なシステミック危機の種が芽吹きかねないとの見方も出ている。

フランスは、G7を欧州と米国が今なお実のある議論を交わせる数少ない場と位置づけている。中国を含む20カ国・地域(G20)の会議は、昨年トランプ氏が出席を見送り、対立を抱えて機能不全に陥りつつあり、マクロン氏は早晩終焉(しゅうえん)を迎える可能性すらあると警鐘を鳴らしている。

ワシントンのアトランティック・カウンシルのチャールズ・リッチフィールド氏は「G7で診断を共有することは、協調戦略の出発点となり得る」と指摘。「『世界の不均衡を憎む』とでも言うようなG7の声明が出て、それを中国側が喜んで受け入れ、皆が一連の解決策で合意するなどとは誰も思っていない。それでも、解決策の選択肢を提示しておくこと自体に意義がある」と語った。

中国は16日、2国間貿易の促進に向けて一部品目の関税引き下げで米国と合意したと発表。トランプ氏と習主席による北京での首脳会談を受け、中国商務省が声明を出した。世界2大経済国の関係がさらに安定しつつあることを示した。

G7会議初日は、中国の経済指標の発表とも重なる。同国の小売売上高は、コロナ禍を除けば近年で最悪の年初の落ち込みとなっており、伸びが加速する工業生産とは対照的だ。

エコノミストらが挙げる問題点の中で、最も投資家を悩ませているのは財政懸念だ。米2年債利回りは先週、2025年3月以来の高水準に達し、日本の30年債利回りは発行開始以降の最高水準を更新。英国の政治危機により、同国の30年債利回りも28年ぶりの高水準を付けた。

ベッセント米財務長官

中でも各国当局者が懸念しているのが、米国の財政拡張だ。国際通貨基金(IMF)は、米国の借り入れが他のどの先進国よりも速いペースで膨らむと予測している。

ベッセント米財務長官は、借り入れを抑える最善の道は経済成長だというトランプ政権の従来の主張を繰り返すとみられる。

インディペンデント・エコノミクスのシニアアドバイザーで、元IMF高官のエリック・ニールセン氏は「米国がこの問題に何か手を打つと考えるには、よほどの楽観論者でなければならない」としつつ、「それでも議論の俎上(そじょう)に載せること自体は良いことだ」と述べた。

フランスは不均衡を巡る議論を広げるため、19日の協議にインドとブラジル、韓国、ケニアを招待し、別途共同声明をまとめる構えだ。

原題:World Imbalances Trouble G-7 in Wake of Trump’s China Encounter(抜粋)

--取材協力:Alessandra Migliaccio、Kamil Kowalcze、横山恵利香.

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