ホンダと日産自動車は昨年、共同持ち株会社設立による統合を目指したが破談となった。当時は日産の財務状況が急速に悪化しており、ホンダの突きつける条件に日産が抵抗したためだ。

それから1年。国内主力工場での生産停止などリストラを決断した日産は今期(2027年3月期)に純損益が3期ぶりに黒字転換、営業利益は2000億円に拡大すると見込んでいる。一方、ホンダは電気自動車(EV)戦略の失敗で前期純損益が4239億円の赤字となった。今期は黒字転換を見込むものの、純損失は連結で決算開示を始めた1977年以来初めてだけに衝撃は大きく、同社はハイブリッド車(HV)への注力などで建て直しを図る。

業績悪化の原因や水準は違うとはいえ両社の立場が逆転したことで、より対等な条件で協議が再開される可能性があるとみる向きもある。東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは提携ぐらいの話ではもうどうにもならないとした上で、統合交渉を「まだやらなければいけないだろう」と述べた。

ホンダ三部社長、「脱エンジン車」目標撤回-市場減速、巨額損失計上で

激化する中国での新興メーカーとの競争、電動化や自動運転など新技術への対応や、それに伴う開発費の膨張といった課題に両社は直面している。ただ両社の商品や市場には重複する部分も大きく、協議を再開するとしても規模の利益や投資負担の共有などのメリットが、弱体化した2社を組み合わせるリスクを上回ることを示す必要がある。

都内のホンダと日産の販売店、両社は長年激しい競争を繰り広げてきた(2024年12月23日)

杉浦氏は、両社はいずれも構造的な問題を抱えていると分析。「ホンダの上から目線」がなくなることで再び両社に接点が生まれる可能性があるとみる。さらに、「企業風土を変えるために新しい会社を作る」という形で変革を進める選択肢もあると指摘し、市場にも同様の見解を持つ人はいると話した。

日産のイヴァン・エスピノーサ社長は13日の決算会見で「ホンダとの協議は引き続き活発に行っている」と述べた。「協業の機会を探り続けている」とし、共有できることがあれば速やかに公表すると話した。協業の詳細については明らかにしなかった。

一方、ホンダの三部敏宏社長は、失敗に終わったEV戦略の立案者でもあるが、戦略転換のかじ取りに追われる中、日産との交渉再開についてはほとんど語っていない。

両社は24年から車の電動化や知能化に向けた協業の検討で覚書を締結、共同持ち株会社設立構想が破談に終わった後も協議を続けており、資本関係を結ばない協力体制を築く選択肢もある。

CLSA証券のシニアアナリスト、クリストファー・リヒター氏は「ホンダは1年半前の日産ほど悪い状況にはないが、自動車事業を極めて厳しく見直す必要がある」と述べた。両社の交渉再開にあたっては、ホンダの自尊心が妥協を阻む要因になり得るとみている。

リヒター氏は「ホンダのプライドが、現時点でその道に進むことを許さないだろう」と指摘。その結果「どちらの会社も主導権を握れないことになる」との見方を示した。その上で、「対等合併はたいてい悲惨な失敗に終わる」と述べた。

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