トランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談は、最高値更新を繰り返す株式市場にとって、その行方を左右しかねない重要な局面かもしれない。経営トップが北京での会合に参加する米主要企業は、すでに株価が上昇している。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が途中から合流したエヌビディアは、13日の市場で一時3%余り上昇。マイクロン・テクノロジーとクアルコムはいずれも大幅高。テスラとアップル、ボーイングも上昇した。

一方で投資家の見方は総じて冷静だ。パイパー・サンドラーによると、S&P500種株価指数の変動はトランプ氏の訪中期間、1日に0.7%程度の変動にとどまると見込まれている。同期間の中国インターネット株や、来週のエヌビディア決算発表後のS&P500種の予想変動幅より小さい。

地政学からインフレ動向に至るまで、さまざまな懸念がある中でもなお楽観的な見方が広がっているのは、過去最高値圏にある市場にはサプライズリスクとなり得る。首脳会談では関税やイラン戦争に加え、航空宇宙、農産物、重要鉱物、テクノロジーなどの貿易が議題となる見通しだ。

パイパー・サンドラーのオプション責任者ダニー・カーシュ氏は「コールオプションの取引量が記録的水準に近い状況で、米中の通商絡みでテック株や人工知能(AI)株にとって前向きでない内容が出る、あるいはイラン情勢の緊張が再燃すれば、投資家に悪材料と受け止められる」と指摘。貿易摩擦の再燃は株売りを引き起こす可能性があると続けた。

米中首脳会談での注目分野は以下の通り。

ボーイングとサプライヤー

中国は約500機のボーイング「737 MAX」購入を検討しており、同社のケリー・オルトバーグCEOは訪中を「有意義な機会」と述べた。ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジョージ・ファーガソン氏は「受注が発表される可能性は高い」としつつ、「株価は上昇するかもしれないが、収益に影響するまでには相応の時間がかかる」と指摘した。ボーイング機の受注は自動的にゼネラル・エレクトリック(GE)のエンジンや、RTXの装備品の需要も押し上げると、同氏は続けた。

農業分野

中国が米国から農産物を購入すると約束すれば、苦境にある米農家の追い風となる。農機大手のディアや、種苗大手のコルテバに特に歓迎される動きだと、オッペンハイマーのアナリスト、クリステン・オーウェン氏は述べた。

トレーダーによると、中国当局は米国側とトウモロコシなどの作物購入を協議している。大豆も協議対象に含まれているという。

ただし地政学リスク次第で、合意が崩れる可能性もある。

オッペンハイマーのオーウェン氏は「好結果なら農家の負担軽減につながる。予想外の悪い内容なら農家への圧力が強まるが、さらなる下振れ余地は限定的だ」と述べた。

重要鉱物

中国はレアアースの支配を交渉材料としており、米国はそれに対抗して独自のサプライチェーン構築に努力してきた。供給合意が結ばれるなら、代表的企業であるMPマテリアルズにリスクとなると、JPモルガンのアナリスト、ビル・ピーターソン氏は顧客に指摘した。米国防総省は昨年、MPマテリアルズのほか、USAレアアース、リチウム・アメリカス、トリロジー・メタルズに出資している。

半導体

AI半導体のアクセスも議題に上がる見通しだ。エヌビディアは最先端ではない一部製品の販売許可を取得済みだ。アトランティック・カウンシルのジョシュ・リプスキー氏は、米中がレアアースと半導体の両方が関係する合意を結ぶ可能性があるとみている。ただし新たな段階での合意というよりも、すでに約束した製品引き渡しを履行するといった合意になるかもしれず、その場合は投資家への影響が鮮明になるまで時間がかかるという。

それでも何らかの動きがあれば、記録的な上昇を続ける米国の半導体株をさらに押し上げる起爆剤になり得る。

ホライゾン・インベストメンツのスコット・ラドナー最高投資責任者(CIO)は「エヌビディアの見通しはこれまでのところ、中国での販売がゼロとの前提になっている」と指摘。「これが有意に変わるとすれば、半導体産業全体の需要見通しが変わる」と述べた。

原題:Nvidia Chips, Boeing Jets: Stock Traders Eye Trump in China (1)(抜粋)

--取材協力:Maggie Eastland、Arvelisse Bonilla Ramos、Natalia Kniazhevich、Jordan Fitzgerald、Ilena Peng.

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