世界の中央銀行による中国人民銀行(中央銀行)のスワップライン利用額が1-3月(第1四半期)に2年ぶりの高水準に達した。人民元への国際的な需要拡大が浮き彫りになった。

3月末時点で、世界の中銀は人民銀のスワップラインから計1116億元(約2兆5900億円)を引き出しており、2024年3月以来の高水準となった。人民銀が11日遅く公表した四半期リポートで明らかになった。ブルームバーグの算出では前四半期からの増加額は174億元と、23年以来最大だった。

中国のスワップラインは、世界の金融システムに人民元を供給する重要な手段だ。各国の金融機関は自国の中銀を通じて人民元にアクセスし、貿易や投資を支える。今回の増加は、中国による人民元の国際化推進と、各国がドル依存の軽減に一段と前向きになっている状況を示す。

ING銀行の大中華圏チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「オンショア人民元はここ数カ月かなり好調で、イラン戦争を受けても上位のパフォーマンスを示した通貨の一つだった。これが海外からの信頼感や関心の高まりにつながった可能性がある」と指摘。「スワップラインの利用拡大は人民元の国際化にとって前向きな進展を示すが、道のりはなお長い」と述べた。

オンショア人民元は今年、対ドルで約2.9%上昇している。イラン戦争を巡る緊張で安全資産への需要が高まる中でも底堅く推移しており、人民元で決済される国際取引は増えている。

3月の貿易では引き続き米ドルが中心だったが、国際銀行間通信協会(SWIFT)のデータによると、人民元は国際決済額でランクを一つ上げ、世界で5番目に多く利用される通貨となり、シェアは3.10%だった。中国のクロスボーダー銀行間決済システム「CIPS」も、1日当たり取引額が過去最高の1兆2200億元に達したと、上海証券報が4月上旬に報じた。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアジア為替・金利チーフストラテジスト、スティーブン・チウ氏は、イラン戦争をはじめとする地政学的緊張を背景に人民元流動性への需要が拡大している一方、ドル調達コストも上昇していると指摘。「この需要は、原油価格ショックを受けて人民元流動性を求める、中国と関係が深い国の中央銀行から生じている可能性がある」と述べた。

人民銀のデータによると、中国は25年末時点で、32カ国・地域と総額4兆5200億元の通貨スワップ協定を締結している。

一方、市場では米国が通貨スワップラインの対象国を拡大するかどうかにも注目が集まっている。アラブ首長国連邦(UAE)の対外貿易相は今月初め、同国がスワップ協定を巡り米政府と協議していると確認した。連邦準備制度の流動性ラインを利用できる少数の国に加わることを目指している。

原題:Central Banks Tap Most Yuan Swap Lines With PBOC in Two Years(抜粋)

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